今日は「ガリ」の話です。ガリといってもボリュームを操作したときに「ガリガリ」と耳障りなノイズが発生する症状のことです。
先日、お客様と電話をしているときに、「SONYの製品はどれもヘッドホンVOLがダメになる」という話がありました。確かにおっしゃるとおりと思いました。ヘッドホンをほとんど使わないという方は困らないのでしょうが、夜間や家人が在宅の時は、やはりヘッドホン端子が重宝します。しかし、その際に一々「ガリガリ」というのは興覚めですが、わざわざ修理に出すのは面倒という方にDIYでもできる方法をご紹介します。
はじめにSONYの製品ですが、DATデッキでいうと、DTC-55ES辺りの製品から、ヘッドホン端子には小型の可変抵抗器が用いられています。
(写真はDTC-57ESのものです)
今回ご紹介する作業はVOLが本体に取り付けられたままでも行うことができますが、わかりやすいようにユニットごと取り外しました。この青いボディのものが可変抵抗ですが、ほぼ100%ガリが発生しています。「ガリ」は内部の接点の酸化等による接触不良が発生することにより起こりますので、その部分を清掃すればほとんどのものは解消されます。
一番間違いない解消方法は、こうやって分解して接点を清掃しスライド接点用グリスを塗布することなのですが、このパーツは基本的には分解することを前提としていないので、組み立て時に加工が必要となり後で大変なことになりまし、今回は自分でできる簡単な方法ということが前提です。そこで、
用意するものは、「接点復活スプレー」と「極細ノズル」です。いずれもモノタロウやAmazonで購入可能です。ノズルは写真にあるものよりも長い30cm程度の長尺のものがありますので、そちらのほうが狭い奥まで届き作業がしやすいと思います。
用意ができましたら軸の周りの隙間からスプレーを吹き付けるだけです。ただし、飛沫が飛び散りますので、周りのパーツに飛散しないようにウエスなどで養生することが必要です。
これで何もなかったように復活します。
次にAKAIやA&Dの可変抵抗器です。このメーカーではヘッドホンVOLに不具合が発生することは稀で、ほとんどがRECまたはBALANCEにガリが発生します。
こういうタイプの可変抵抗器です。本来であれば新品の代替品に交換したいところですが、軸の長い特殊品のため入手不可です。
この可変抵抗器もここまで分解できますが、フロント側は分解できません。
これも本体に取り付けたまま作業可能です。ボディの横に穴が開いていますので、そこからスプレーを吹き付けることでガリが解消されます。
以上の方法は一時的に接点部の抵抗を改善するためのものですので、直接接点を清掃する方法と比較すると、比較的早い時期に再度ガリが発生します。また、周囲にスプレーが飛散しないように注意が必要です。
最後に余談になりますが、AKAI、A&Dの可変抵抗器は、リヤ側のこの箇所に断線が発生しやすいという欠点を有しています。こうなると交換しかありませんので、その場合は当店までご連絡ください。
なお、機器のカバーを開けて作業を行うことは製造メーカーでも禁止しており自己責任となります。また、感電防止のため電源プラグは必ずコンセントから抜いて作業を行ってください。
また、本来、接点復活剤は接点部分にのみ使用することが望ましく、今回紹介した方法によるプラスチック製パーツへの悪影響については未検証でありますのでご了承ください。