道内の方からカセットデッキ2台の修理をお請けしました。
1台はテクニクスのRS-B85で、これは後日記事にしたいと思います。もう一台は今回のTC-K222ESGですが、特に120分テープにおいて「回転が不安定」「時々隣のトラックの音が聞こえる」等の不具合があって、一度他社で修理を行ったものの、改善されずお困りとのことです。
「時々隣のトラックの音が聞こえる」というのは、テープが進行方向と垂直の方向に振れているということで、「回転が不安定」というのは、オーナー様にお聞きしたところ、その途中経過で音がグニャグニャになって聞こえることを意味するとのことです。
この症状は、特にSONY製で長時間テープを使用したときに発生しやすく、その原因としては何点か考えられます。
「ピンチローラーの汚れ、破損(特にESLシリーズ)」
「ブレーキパッドの脱落によるテープテンションの減少」
「テープパスの狂い」
また、なぜ長時間テープに発生しやすいかというと、テープが薄くよじれやすいことによります。
テープがダメになるのを覚悟して動作確認をしてみます。
再生開始後まもなく、「クシャクシャ」と嫌な音がテープから聞こえてきました。この音はテープがヘッドとテープガイドから脱線したときの音で、テープを取り出すと、やはりテープにシワが付いていました。
メカを取り出して点検を行います。
ブレーキパッドに問題はありません。ピンチローラーも同様です。
ここが原因です。テープガイドの位置がずれていましたので、正規値に調整します。21.1~21.2mmが標準です。
念のため、ミラーカセットによるテープパス点検を行い、120分テープを用いて走行テストを数往復行います。
不具合が解消されましたので、録再状態を点検します。左右同レベルの入力でメーター読み2目盛りほどバランスが悪くなっています。メーターの狂いではありません。これは調整することはできませんので、
INPUT端子すぐ後にある抵抗を可変型に変更し調整します。
OUTPUTです。左は調整前、右は調整後で左右同レベルになりました。
ヘッドアジマスの調整、テープ速度の点検を行い、
バイアスキャリブレーションの作動状態を確認、
修理完了です。222シリーズは普及価格帯の機種ですが、音質は上位機種に匹敵するほどの性能を持っています。