今日はSONY製DATデッキ、DTC-690の修理を行いました。
依頼者がご友人からお借りして使用したところ、最初は良かったものの、数本のテープ再生後に音が出なくなったとのことです。
早速お送りいただきました。
トレイを開けてテープを入れようとしたところ、勝手に閉まってしまいました。同様のメカを採用している機種によく見られる症状です。
テープ走行はOKですが、確かに音が出ません。
まずは基本通りヘッドクリーニングを行いましたが、改善の兆候は見られません。
次に疑わしいのはRFアンプです。
スペアパーツと交換したところ正常に再生されました。この機種でRFアンプの故障は初めての経験です。
それほど酷くはありませんが、4.7μFとその横の22μFの電解コンデンサーに液漏れが見られました。
この基板の電解コンデンサー6個すべて交換しました。
続いてメカのメンテナンスを行います。このタイプのメカは、メンテナンスを行わなければ必ず部品が脱落し動作不良を起こします。
トレイが勝手に閉まるというのは、ここの滑りが悪くなっていることが原因ですので、シリコングリスを塗布します。
メカ底部の基板を外し、リールユニットを分離します。
ここの白黒ギヤの留め具が割れて脱落しますので、抜け止め処置を行います。
回転部分の抵抗を減らすために可動部にグリスアップを施します。
ここのギヤもグリスが固まりますので清掃後にシリコングリスを塗布します。
ピンチローラーは専用クリーナーでクリーニングします。
回転ヘッドです。スポンジ製ヘッドクリーナーは無くなっています。ヘッドに悪影響を及ぼしますので、これはこれで問題ありません。クリーナーのアームは不要ですので撤去します。
拡大鏡で見ながら回転ドラムに付着している汚れを爪楊枝を用いて除去します。
テープパスの点検を行い、アナログ(SP・LP)デジタル入出力での録再点検を行います。
修理完了です。動作音質良好です。SONY製DATデッキの修理は当店にお任せください。