オークションでGX-Z9100EVの故障機を入手しましたので今日はこの修理と整備を行います。
これは凄い偶然ですが、このデッキを出品された方は、昨年当店で修理を行ったGX-Z9000のオーナーの方でした。その節は大変お世話になりました。
電源をONにすると、リレーが「カチッ」といってカセットハウジングのランプは点灯しますが、表示パネルはダメです。操作ボタンを押してもまったく反応はありません。コントロール基板の電源ラインが怪しいところです。
まずはカバーを開けて電源ヒューズを点検します。問題ありません。
デッキをひっくり返して点検します。発光ダイオードがすべて点灯していますので、メイン基板には不具合は無いようです。
再びデッキをひっくり返して、コントロール基板に接触不良が無いか点検します。写真の黒いフラットケーブルの周辺を触ると、いきなり「キューン」という音が聞こえだしました。メカを覗くとキャプスタンがものすごい勢いで回転しています。FGサーボが機能していないのでしょうか?いずれにしてもこの辺りに接触不良があるのは間違いありません。
コントロール基板を取り外してみると、半田クラックのオンパレードです。これが原因と思い、再半田を行ったところ、キャプスタンが高速回転することは無くなりましたが、逆に今度はずいぶんゆっくりと回転しています。ただし、相変わらずディスプレイは点灯しません。
そこで、テスターで各部の電圧を測定していくと、5Vラインに電圧が来ていないことが判明しました。
回路図で5Vラインを追っていくと、「FR209」という15Ωのヒューズ抵抗がありました。
写真の真ん中に写っている水色のものがそれですが、EV以前の機種にはこの抵抗はありませんので、気付くのが遅れました。
これは怪しいと思い、早速抵抗値を測定すると、無限大、つまり破断していました。
交換しました。さあ今度こそ、と気合が入ります。
無事復旧しました。操作ボタンでメカも反応するようになりました。この瞬間は何度経験しても嬉しいものです。
今回の故障がコネクタ類の半田クラックとどう関係したのかは不明ですが、キャプスタンが高速回転したことにより、余計なところに過大な電流が流れ、ヒューズが破断したのかもしれません。
さあ、これでやっと整備のスタートに立つことができました。この後メカを取り出してメンテナンスと録再調整を行います。
GX機の修理は当店にお任せください。