DATデッキは、テープをセットすると、カセットハーフからテープが引き出されて回転ヘッドに接するという仕組みとなっています。ヘッドが動いてテープに接するカセットデッキとはまったく異なり、ビデオデッキに近いシステムとなっています。
写真はテープがローディングされた状態のものですが、テープを引き出すのは回転ヘッドの両側に見える可動式のテープガイドです。
この可動式テープガイドは、SONYの場合、2種類に分けられます。そのうち写真に写っているタイプには構造上の欠陥があることが知られています。
このタイプは。1000ES、500ES、300ES、55ES、M100、2000ES、1500ES、77ES、A8、ZA5ESに使用されていて、複数のパーツにより構成されていますが、圧入で組まれている箇所が2か所あり、その2か所の片側、あるいは両側が脱落するという故障が稀に見られます。
ネジロック剤を少量塗布することによりこの故障は回避できますが、メーカーでもこの欠陥は承知していたようです。
先日2000ESの修理依頼をいただいたときに、以前メーカーサービスで修理を行った際の内訳書を見せていただきました。元々は、ベルトスリップが原因の故障でしたが、その修理内訳書を見ると、「傾斜ブロック交換(2ケ)」いう記載もありました。
「傾斜ブロック」というのは、写真に写っている銀色のパーツを指しますが、これを交換したということは、その時点でメーカーが欠陥のことを知っていたものと思われます。自動車でいうと製造上の欠陥ですからリコール対応でメーカー負担での修理になるのですが、その内訳ではお客様負担で修理を行っています。
メーカーが費用を負担すると「欠陥品」といううわさが流れ収集がつかなくなるので、表沙汰にしないで通常の故障扱いとしたのでしょうね。
上記機種をお持ちの方は是非一度点検を行うことをお勧めします。