これまで「テープパス」については、このブログでも何回か説明してきましたが、日本語で言うと「テープの通り道」あたりになるのでしょうか?
テープとヘッドは、常に一定の位置関係になくてはならず、そのために、ヘッドの前後(片側のみの場合もあります)には「テープガイド」が設けられています。
通常、このテープガイドとヘッドは、よほどのことが無い限りズレを生じることはありませんので、ユーザーが積極的に調整を行う必要はありませんが、デッキを分解整備した場合、そのほとんどにおいて調整を行わなければなりません。
写真はGX-93のものですが、消去ヘッドの左側と、再生ヘッドの右側の黒いパーツがテープガイドになります。
GX機(GX-93と同じメカを使用しているデッキを意味します)の場合は、写真のように、左側のピンチローラーアームとテープガイドが一体化しています。そのため、この部分に起きやすいグリス硬化による動作不良を解消するためには、一旦ピンチローラーアームとテープガイドを取り外し、メンテナンス後に元の位置に戻す必要があります。
そのため、ミラーカセットなどを使用して、「テープが一直線に走行しているか」「テープガイドがテープ走行の妨げとなっていないか」チェックします。
テープガイドの調整に問題がある場合、テープ端に傷が付いたり、テープの蛇行が起きてクシャクシャになってしまいます。この傾向は、SONY製のデッキ(ESG以降のESシリーズ)では特に顕著となります。
GX機の話に戻ります。一方、ヘッドの右側のテープガイドについては、調整式になってはいますが、分解するケースは無いことからほぼノーマーク状態なのですが、ここに意外な落とし穴があります。
というのは、先ほどのミラーカセットで確認すると、数台に一台は、その右側のテープガイドとテープが干渉し、テープに微妙なシワが起きながらテープ走行しているからです。
もちろんこのまま使用すると120分以上のテープが薄いカセットではテープ端に傷がつくおそれがあります。
これはなぜなのかはわかりませんが、製造時からという可能性も否定できません。
原因はともあれ、GX機をお持ちで調子がおかしいなという方は当店にご相談ください。