「バンコード」をご存知でしょうか?
下にリンク先を記載しましたので、詳細はそちらをご覧いただくとして、簡単に説明すると、端部を熱で溶かして接着(融着)しベルトを作成できるポリウレタン製の部材です。
https://www.bandogrp.com/product/industrial/friction_16.html
一般的に、カセットデッキなどモーターを使用するメカには、その動力を伝達するためにギヤやベルトが用いられます。
カセットデッキやDATデッキにおいては、経年によりゴムベルトが劣化し、それが原因で動作不良に至るケースが数多く見られます。その場合、通常はメーカー純正品に交換するのですが、もはやメーカーでの製造が中止となっている現在では、代替品を探して修理することになります。
この場合の問題点は、「ゴムの劣化により修理後数年で同様の故障が起きる」ことのほか、「純正品とまったく同じサイズのものが無いことにより修理が困難となる」ことです。
前者はゴムベルトの性質上、避けて通れないことですので諦めるしかありませんが、後者において有効な手段として、前述の「バンコード」を使用するということが挙げられます。
バンコードは、自由なサイズでベルトを作成できますので、平ベルトのような回転の一定性が求められる箇所以外のほとんどに用いることができ、強度や耐久性においてもゴムベルトのそれを大きく上回っています。
ただし、使用する際には注意しなければならないことがいくつかあります。
1点目は、「ベルトを作製する際の寸法」です。バンコードは非常に引っ張り強度が高いため、小さめに作製するとプーリーやモーターの軸部に不要な負荷を与えることになり、摩耗や破損、異音発生の原因となるからです。
2点目は、「融着するときの温度及び養生」です。
先日、お客様から預かったGX-Z9100の修理をしたときに、カムモーターベルトとして使用されていたバンコードの破断が見つかりました。
バンコードの融着部は、施工が適正に行われた場合は、鉄筋の溶接と同様、融着部の強度はそれ以外の箇所と同様、またはそれ以上になります。しかし、融着を行う際の温度が低かったり、融着後の養生(融着部の固定、冷却時間など)が不十分な場合は、強く引っ張ると接合部が簡単に破断します。
GX機においても、ゴム製のカムモーターベルト劣化はウイークポイントのひとつでありますので、代替品としてバンコードを用いるというのは良い判断かもしれませんが、何事にもコツが必要です。バンコードを使用する際には上記のことに十分ご注意ください。