AKAI(A&D)のGX機(GX-93、GX‐Z9100シリーズ)の故障の多さで1・2位を争うのは、「ベルトスリップ(カムモーター、アイドラー)」と「ピンチローラーアーム固着」です。もちろん、長期保管品では両方の症状が発生していることがほとんどです。
今回修理を行ったGX-Z9100EXもその例に漏れず、カムモーターベルトは破断し、ピンチローラーアームに至ってはビクともしません。
これら不具合は、「ベルト交換」「固着部のグリスアップ」で解消されるのですが、問題は、ピンチローラーアーム固着に伴い、テープガイドの破損が起こっていることです。
少し写真がわかりづらいかもしれませんが、ヘッドの右側の灰色のパーツがテープガイドで、奥側が折れています。稀に左側のテープガイドも破損していることもありますが、今回の機体では大丈夫でした。
なぜ、破損が起きるのかというと、テープが装着されヘッドとピンチローラーが少し上がった状態でピンチローラーが固着し、テープガイドの先端がカセットハーフの内部に留まった状態で無理やりトレイを開けようとするとカセットに引っ掛かるためです。私の経験上、GX-Z9100、7100(EVを除く)が一番破損しやすいように感じます。材質の問題でしょうか?
折れたパーツの補修は困難ですから、基本的には中古部品と交換することになりますが、2点注意が必要です。
一点目は、テープガイドは調整式となっているため、脱着後はテープパス調整が必要となることです。最終的にはミラーカセットでテープの走行状態を目視で確認しながら調整を行うのですが、最初の取り付け位置をノギスで測定しておくと後の作業が楽になります。
二点目は、取り外し方です。製造時に調整用ナットを固定するためにネジロック剤が塗布されていますので、無理にナットを回すと軸部が簡単に破断します。これは私も過去に一度経験済みです。緩めるときには、CRC等でネジロック剤を溶かしながら作業を行う必要があります。
慎重に作業を行い無事取り外すことができました。
あとはスペアパーツを取り付け、先ほど測定した位置に仮止めし、最終段階で微調整を行います。取り付けたテープガイドの色が黒いのは、GX-93用だからです。
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