数日前に当店で販売したDTC-55ESが返品となりました。
ちょうどひと月前にも修理後に納品したDTC-55ESが不調ということで一旦返品を受けましたが、そのときは輸送中の振動等が原因でした。
購入された方のお話では、到着後にお持ちのテープを再生したところノイズ混じりの再生音の後にテープが停止し、別のテープでもノイズ混じり及び音飛びの状況で、そのうちまったく再生できなくなったとのことです。
発送前の点検では正常に動作していましたので、購入者が使用したテープに原因がありそうでしたが、ほかにはDAT機器をお持ちでなく自己解決は難しいとの判断から一旦機器を返送いただきました。
機器が到着しましたので再生状態を確認します。やはり音は出ません。オシロを接続しましたがヘッドからの信号も出力されていません。
そこで、ヘッドチップの状態を拡大鏡を用いて目視点検したところ、ヘッドチップがかなり汚れていることが確認できました。
クリーニングテープで少し長めにクリーニングしましたが、汚れは簡単には落ちません。
こういった場合は直接ヘッドチップの汚れをふき取ります。なお、ヘッドチップは非常に脆いのでご自分で直接清掃することはお止めください。
無事復活しました。念のためもう少し様子を見て購入者にお送りする予定です。
今回のようなケースは決して珍しいことではありません。長期保管されたテープには、劣化した磁性体やカビ・ほこりなどが付着していることがあり、そういったテープを再生すると即ヘッドの目詰まりが起きます。
カセットテープでも同じようなことは起きますが、カセットデッキであれば簡単に目視点検やヘッドクリーニングできるので、それほど問題とはなりません。
DATは性能は素晴らしいのですが、取り扱いが難しいのが欠点ですね。