年末にDTC-2000ESの修理依頼をお受けしました。
「テープをセットするとCAUTION表示となり動作不可」とのことです。リールメカのトラブルでしょうか?
今回は、オーナー様の意向で、当店の修理パターン2を行うこととなりました。
機器がが到着し動作確認しましたがオーナー様の仰るとおりまったく動作しません。
カバーを開けてメカの動きを点検します。標準のヘッドクリーナーが付いていますが、ヘッドに悪影響を及ぼしますので後ほど撤去します。
原因がわかりました。ヘッドが回転していません。ヘッドの固着が起きています。指で触れても動きません。
ヘッドの固着は、DTC-55ES、DTC-500ES辺りの機種では多く見られますが、2000ESでは珍しい故障です。
それでも力を入れると回るようになりました。ところが360度回転のうち一か所だけ引っ掛かりがあり、回転が不安定かつすぐに停止してしまいます。何度か繰り返しているうちに改善されるのではないかと考えましたが、やはり再生できる状態には戻らないようです。
これは、ヘッドの交換しかありません。といってももちろん新品は入手不可ですので中古ヘッドを探して交換することになります。
オーナー様にその旨をお話しし、GOサインが出ましたのでヘッドを探すことになりました。
数日間要しましたが、DTC-77ESのジャンク機を入手することができました。2000ESはこの機種と同じ形式のヘッドを搭載していますのでボルトオンで換装することができます。
77ESからヘッドを取り出しました。まずはメカの分解整備を行います。
メカの各ユニットにアクセスするために底面の基板を外します。
リールメカ、キャプスタンモーター、ギヤ類を取り外していきます。
モードベルトは硬化が進んでいますので新品交換します。
リングギヤの固着はありませんでした。古いグリスを拭き取って再グリスします。
2DDリールメカにも固着はありませんでしたが、ブレーキパッドが貼り付いた形跡が見られます。
ブレーキを分解します。
パッドを張り替えます。
トレイベルトも新品に交換します。
トレイメカの可動部にシリコングリスを塗布します。トレイが勝手に閉まる場合はここが原因です。
元通りに組み付けて、動作テストを行います。動作良好です。ヘッドを載せ替えたので、テープパスの点検調整を行います。
続いて左側表示パネル暴走予防のため操作スィッチ交換を行います。
タクトスィッチすべて交換します。
録音再生状況のチェックを行い修理完了です。