先月カセットデッキの修理依頼をいただいたお客様から今度はDATデッキの修理依頼をいただきました。SONYのDTC-ZA5ESです。
症状は、「一応再生はできるが、音飛び、ノイズが発生する。」「一部のテープでは再生が途中止まる、巻き戻しができなくなる場合
デッキが到着しましたが、開梱して持ち上げたときに中から「カランコロン」と音が聞こえました。
「もしや?」と思い、トレイを開けて中を覗き込んでみると、予想通りピンチローラーが脱落しています。
ちょうどメカの下にピンチローラーが潜り込んでいました。これが今回の故障の原因かというと違います。なぜなら、ピンチローラーが脱落すると再生はできないからです。おそらく、元々留め具が割れて外れそうになった状態で輸送中の振動により脱落したものと思われます。
とりあえず、これを戻して再生状態を確認することにしました。ところがやはり音飛びが発生します。リールの回転も不規則です。
ピンチローラーのゴムが劣化して固くなりテープが滑ったことが音飛びの原因です。硬くなったゴムを改善することはできませんので、交換することにします。
これでとりあえずは正常に動作するようになりましたが、せっかくの機会ですので、オーナー様との協議によりメカのメンテナンスも併せて行うこととなりました。
まずはトレイベルトを交換します。
トレイの可動部にシリコングリスを塗布します。
メカを構成しているユニットを取り外し点検を進めます。
グリス硬化によるトラブルが多発するリングギヤですが、固着はありません。
このグリスが次第に固まり動作不良を起こします。
丁寧に除去しシリコングリスを塗布します。はみ出したグリスは拭き取ります。
モードベルトも交換します。リングギヤとこのベルトの状態から判断して、過去に一度はメンテナンスを受けていると思われます。
2DDリールメカです。ブレーキは効いているようですが、パッドの状態はどうでしょうか?
良好です。
元通りに組み付けていきます。
本体に取り付けてまずは音出しです。OKです。
テープパス(テープとヘッドの当たり具合)を点検します。問題ありません。
各モードでの録再状態を確認し修理完了です。