今年2台目のKX-1000です。
「再生は不可。早送りや巻き戻しは動作するが弱々しい。」という状態です。今回はメカの不具合個所のみの修理ということで依頼を受けました。
キャプスタンは回転しているようですが、再生ボタンを押してもヘッドが上がらず早送りのようになります。
筐体に余裕があるためメンテナンス性は非常に良好です。
内外装もそうでしたが、ヘッド周りも良好な状態にメンテナンスされています。
SANKYO製のメカユニットです。先日修理を行ったV-6030Sのメカと似ています。キャプスタンベルトの状態は良好です。リールモーターのすぐ横にモード検出スイッチがあります。この下にあるモーターで回転するカムにより3つのスイッチがONOFFし、その状態に基づきメカが動作する仕組みになっています。
このスイッチを外して接点の状態を点検すると、予想通り黒く酸化しています。ここが接触不良を起こし動作不良となっていました。
フロントのパネルを外し、点検を行います。左側リールに取り付けられているバックテンションベルトの状態は良好です。
早送り等がもたつくのは、このアイドラーゴムの劣化が原因です。以前同型機種を修理した際に、多めに発注し在庫がありましたので即交換できました。
この位置にテープのセットを検知するスイッチがありますので、ここも接点を清掃します。
メカを本体に戻し、走行テスト、点検を行います。
315Hzのテープを再生していますので、速度は1%弱速い状態です。一般的に整備マニュアルには誤差は0.3%以内とすることとされていますので、キャプスタンモーターの調整孔に細いドライバーを差し込んで調整します。
調整後です。ここで今回ご依頼いただいた修理は完了ということにはなるのですが、確認のため、ヘッドアジマスの状態を点検しました。
テストテープを再生し、いわゆる「リサージュ波形」の状態を確認します。この写真の状態の合否ですが、
これはSONYの整備マニュアルから抜粋しましたが、「Bad」判定です。オーナー様に調整の是非について確認後、作業を継続します。
KX-1000は、ヘッドとピンチローラーのちょうど中間あたりにアジマス調整ネジがあります。
調整ネジを少しでも回すと波形が変化します。「Good (In Phase)」です。
周波数特性の簡易チェックも行いましたが、高域までフラットに伸びており、聴感上も良好です。
以上修理完了です。