カセットデッキの故障の原因で最も多いのはゴムベルトの破断や伸びによるものです。
SONYのTC-K、ESG以降のモデルでも同様で、ヘッドとピンチローラーの上下を行うためのベルトが加水分解によって弾力が無くなり、これが原因で動作不良になるということは有名です。しかし、もうひとつのゴムベルトであるキャプスタンベルトについては、ゴムの種類が異なるため、これまでトラブルが発生したいう機体は見たことがありませんでした。
今回、当店のネットショップに出品するためにSONYのTC-K333ESGのメンテナンスを行いました。ところが、動作確認のときにキャプスタンがおかしな動きをしています。
分解してみると、ベルトが溶けて切れています。このベルトを使用している機体では初めて見る光景です。SONYのこのキャプスタンメカには、幅が3mmの細いフラットベルトが使用されていて、社外品ではあまり見かけないサイズです。
ということでおそらく純正品と思われますが、ロットによっては種類の違うゴムが採用されていたのでしょうか?
いずれにしてもメンテナンスの際には交換してしまいますので影響はありませんが、少し気になりますね。
【2019/6/17 追記】
SONY製のダブルカセットデッキデッキの修理を行ったところ、同サイズのベルトが使用されていることがわかりました。しかし、このベルトはESシリーズに用いられているものと材質が異なるようで、上記のように加水分解し溶けていました。
上記333ESGに使用されていたのもこのベルトではないかと考えられます。ただし、それが取り付けられたのが製造時の工場なのか、修理の際なのかは断定できませんが、製造時であれば多発していると思われますので、どなたかが修理された際ではないかと考えています。