今日も珍しいデッキの修理です。
KENWOODの3ヘッドクローズドループデュアルキャプスタンデッキ、KX-9010です。1989年発売で価格は69,400円ですので中~高級機に位置付けられます。
再生可能ですが音がうねります。テープ走行が不安定な時の症状です。
ノーマルテープをセットしたのですが、表示が変です。検出スイッチの接触不良です。
早速カバーを開けてメカを取り出します。底面2本内部4本のネジで固定されています。
よく見かけるメカです。最初に目に飛び込んだのは、
バックテンション用のベルトが溶けて無くなっています。音がうねっていたのはこれが原因です。
リールの裏側にもベルトが付着しています。このままだとリール回転検知に支障がでますので綺麗に除去しなければなりません。ただし、アルコールや洗剤を用いると黒銀の黒い部分が消えてしまいますので、注意が必要です。ベルトは折長40mmです。
メカの作動状態を検知するスイッチです。ここが接触不良を起こすと誤作動が発生します。
テープセレクターの検出スイッチです。カバーが掛けられているので汚れにくいはずですが、スイッチがONになるときに火花が見えましたので、そのために酸化が進行したようです。
カバーは慎重に外さなければ固定しているピンが破損します。ペーパーで接点を研磨します。
今度は正常に作動しました。
ヘッドとピンチローラーを専用クリーナーで清掃します。
ミラーカセットでテープの走行状態を点検します。
テープ速度はモーター背面のトリマで調整します。
ヘッドアジスを点検します。かなり狂いが見られます。
ヘッド向かって右側の調整ネジを回して合わせます。
入力と出力が左右同レベルになるよう調整します。
このデッキのバイアスはオートです。このATCSというボタンを押すと自動的に調整(約5秒)し、元の位置に巻き戻しして停止します。
修理完了しました。音質は良好です。このころのこの価格帯のデッキに間違いはないですね。