SONYのDATデッキ、DTC-ZA5ESの修理依頼をいただきました。
ご連絡いただいた不具合の状況は以下のとおりです。
1)再生音が出ない、または音が途切れ途切れになる。(秒カウン
2)早送り、巻き戻しが作動しない、または引きずるように動く。
1)は珍しい故障ではありませんが、2)は原因の予想がつきません。
テープをセットして再生を行いました。カウンターは動きますがまったく音が出ません。
カバーを開けてメカの目視点検を行います。左側のテープガイドが正規の位置まで到達していません。メカの分解整備が必要です。
向かって左側のデジタル基板です。リールモーターを駆動しているのが写真中央に写っている黒色のトランジスタですが、触れてみると、グラグラしているのがわかりました。
基板を取り外しました。
見事な半田クラックです。早送り等の不具合はこれが原因です。右写真は再半田後です。なぜこのようになるのかは昨日のGX-Z9100EVの記事をご覧ください。
メカを取り出して整備に入ります。
トレイを分離しました。このタイプのトレイは可動部の滑りが悪くなって不具合を生じますのでグリスアップを行います。
ピンチローラーはプラスチックのように固まっています。再利用できませんので代替品と交換します。
メカをひっくり返して基板を外します。モーターやギヤ類が現れます。
構成ユニットを順番に分解していきます。
このリングギヤに塗られたグリスが固まり動作不良の原因となります。
CRCでグリスを溶かし、ふき取ってシリコングリスを塗布しました。組み込んでスムーズに回転するか確認します。
消耗品のモードベルトは新品交換します。
リールユニットを分解します。
左右ブレーキのパッドは劣化していますので張り換えます。
元通りに組み立てていきます。
本体に組み付け動作テストです。テープは正常に走行しますが音が出ません。ヘッドチップを拡大鏡で点検したところ、かなりの汚れが見られました。
ヘッドクリーニングを行います。こういったケースでは10秒程度では汚れは落ちません。かなり長めにクリーニングを行い、
復活しました。
早送り・巻き戻しもOKです。
ヘッドの信号を点検します。ヘッド2ケとも正常に出力されています。
ヘッドホンVOLにガリが発生していますのでVOL背面から接点復活剤を施します。
各モードでの録音再生状態を確認し修理完了です。