今日はA&DのフラックシップモデルGX-Z9100の修理です。
ワンオーナー機とのことで外装も非常に綺麗ですが、いろいろと不具合が生じています。
試しにテープをセットして再生してみました。テープは回り始めますがカムモーターが唸り続け、勝手にイジェクトされてしまいます。
一見したところ修理歴は無いように見えましたが、一部がEV用パーツに交換されていました。それは後ほど。
メカを取り外すためには底板を外し、ヘッド用コネクタを基板から切り離す必要があります。
ここでVOLやスイッチの接点に微量接点復活剤を施します。
メカユニットにパーツの破損など大きな問題はありません。
カセットホルダーを分解します。
カセットテープを押さえつけるスプリングが変形していますので加熱整形します。
ヘッド周りです。固着はありませんが、ピンチローラーとヘッドを駆動するパーツに塗られているグリスが固まり始めています。
左右ピンチローラーは新品代替品に交換します。
グリスが塗布されている箇所を分解し清掃します。組み立て時には揮発性の低い(固まりにくい)シリコングリスを施します。
ヘッド周りを組み立てます。左側ピンチローラーはテープガイド一体式となっていますので、脱着を行った後は調整が必要です。
左右リールとアイドラーを外します。
アイドラーゴムは新品に交換します。左右リールは、ゴムが当たる面をアルコール清掃します。
リールモーターのシャフト部も同様に清掃します。
テープにテンションを加えるためのブレーキですが、EV用に交換されています。以前、パッドの脱落でもあったのでしょうか?
※【2019/8/4追記】オーナー様に確認したところ、修理歴は無いということでしたが、ちょうどモデルの切り替え時に新品で購入されたということでしたので、9100最終ロットの仕様のようです。
これで前面は終了です。
メカを前方に倒して基板を分離します。
キャプスタンのフライホイールです。ベルトの当たり面に汚れが付着してザラついていますので清掃します。
カムモーターのベルトを交換します。
オートテープセレクターの検出スイッチ接点を清掃します。
メカのメンテナンスが完了しましたので本体に組み付けます。
動作テストは良好ですので調整に移ります。
ミラーカセットを用いてテープパスの点検調整を行います。テープガイドとテープが干渉していないか目視点検します。
テープ速度は規定値内に収まっています。
続いてヘッドアジマスです。
少し狂いが見られます。右肩上がり45度になるように調整します。
バイアスキャリブレーションを調整し、
そのツマミの位置で周波数が最もフラットになっているか確認します。
入力と出力のレベルを合わせます。
実際にCDを録音し、モニター再生で聴感テストを行います。音質良好です。ケーブルを元通り束ねて、
完成です。