A&DのGX-Z9100EXの修理です。3年ほど前にオークションで入手したものの、2か月ほどで故障し、そのまま放置してあったということです。
トレイ開閉はOKです。
テープをセットしてみました。再生ボタンを押してもリールが回転しません。
カバーを開けました。何かマジックペンでメモ書きが残されています。赤い文字の左側には「ヘッドの劣化」と書いてありますが、前オーナーによるものでしょうか?
メカを取り出すためにフロントパネルを外すと、ヘッドホンジャックの先端が折れていました。GX-93用のパーツがありましたので流用します。
ボルトオンで換装できます。
メカを取り出しました。カセットホルダーを分離します。
さらに分解し、ホルダーの両サイドに取り付けられているスプリングを点検します。
経年により変形していますので、加熱整形します。
メカの固着はありませんでしたが、動きが滑らかではありません。
ところどころ古いグリスが固まりかけています。
分解して清掃後にシリコングリスを塗布します。
劣化が進行しているピンチローラーは新品の代替品に交換します。
組み立てました。かなり動作がスムーズになりました。
左右リールとアイドラーを取り外します。
アイドラーゴムはカチカチに固まっていました。新品に交換し、左右リールはゴムの当たり面を清掃します。
モーターのシャフト部も清掃します。
これで前面は完了です。
メカの背面の基板を外します。
キャプスタン(フライホイール)、カムモーターを取り出します。フライホイールの状態は良好です。
カムモーターベルトを交換します。
酸化しているスイッチの接点を清掃します。
キャプスタンベルトも新品交換し元通りに組み立てます。
メカを本体に戻してテスト運転です。異状ありません。
ピンチローラーの脱着後はテープガイドの位置調整が必要です。テープと干渉していないか目視でチェックします。
テープ速度が規定値内に収まっているか点検します。
12.5kHzのテープで再生ヘッドのアジマス調整を行います。
バイアス調整後に入出力のバランス調整を行います。
ここまでは順調だったのですが、CDを録音し聴感テストを行うと、違和感がありました。
そこで、バイアスの掛かり具合をLR比べてみると、かなりの差が見られました。
最初はヘッドの故障かと思いましたが、点検をしてみると、ヘッドがわずかに傾いていることが分かりました。おそらく人為的なものと思われますが、左右レベルが最大になる位置に調整を行い、調整を最初からやり直しました。
ケーブルを束ね外装を取り付けて完成です。