今日はTASCAMの238です。私もそうでしたが、皆さんも機種名を聞いてもピンとこないと思います。
なぜなら片面8トラックのカセットデッキだからです。
こういったマルチトラックデッキは、音楽などの多重録音を行うことを目的として開発されたもので、例えば、一人でドラム、ベース、ギター、ボーカルなどを別々に録音して曲を作ることができます。さらに、音質向上のためテープ速度も倍速仕様となっています。
不具合の症状としては、テープ走行後、数秒から数十秒で停止するというものです。そのときは右写真のようにカウンターもゼロになってしまいます。ここが修理のヒントです。
カバーを開けました。8トラック分の基板が整列しています。
メカを取り出しました。すごいヘッドです。
テープをセットします。左肩に二つのレバーがあります。右側は誤消去防止孔検知用です。ということは、左側はテープをセットしたことを検知するスイッチということになります。不具合の原因は、おそらくこのスイッチの接触不良と思われます。なぜなら、停止したときにカウンターがゼロになるということは、テープをイジェクトしたと誤って検知されるからです。リールの回転の不具合で停止した場合は、カウンターはゼロにはなりません。
レバーの根元にスイッチがあるはずですが、モーターが邪魔です。
モーターを一旦取り外します。そこに現れたのは特殊なマイクロスイッチです。DATデッキのテープ検出スイッチと非常に似ていますが、非常に小さなパーツが中に組まれていて、分解すると元通りにならない可能性が高いので注意が必要です。そこで、スイッチの隙間から接点復活剤を吹き付け、数十回ONOFFを繰り返します。
さあどうでしょうか?すでに半日以上再生していますが不具合は起きませんので修理完了です。