AKAIの3ヘッドオートリバースデッキ、GX-R88の不動品を入手しました。元のオーナーのお話では「テープが絡む」とのことでしたが、いずれにしても整備しますので関係ありません。
新品価格118,000円の高級機ですが、この上にはGX-R99というさらに高級機が存在します。
電源を入れてEJECTボタンを押しましたが反応はありません。これではテープが絡むどころではありません。
カバーを開けて点検します。AKAIには珍しくベルトが溶けています。それでモーターが空転しています。
このプーリー回すと空転していたモーターが停止し、トレイが開くようになりました。
ケーブルの関係上、メカを内部から取り出そうとしましたが、内部の仕切りが支障となってできません。前方に引き抜くしかないようです。
メカ背面のコネクタを切り離します。ところが、ヘッドの配線がコントロール基板の下をくぐっていて、引き抜けません。
そこで、コントロール基板の脱着が必要となりますが、フロントのメーター基板とコネクタ接続となっていて簡単には外れません。メーター基板を前方に引き出して、ソケット部にドライバーを差し込んでようやく分離することができました。
メカを取り出しました。まだまだ序盤ですが、初めての機種ですので順調には進みません。
背面の基板を外します。キャプスタンは2DDモーター、さらにフライホイールはベルトで連結されています。
フライホイールを外し、その下のFG基板ごとモーターブロックを分離します。これで溶けたベルトを交換することができます。
アルコールで清掃し、折れ長38mmのベルトを掛けます。
隣のカムモーターのベルトも交換します。これとキャプスタンベルトはGX-93などと同サイズです。
背面は元通り組み立てて、前面に移ります。カセットホルダーを切り離します。両側のスプリングにヘタリが見られますので加熱整形します。
写真中央に写っているスプリングが外れていました。これはテープガイドをスライドするためのスプリングです。写真は復旧後ですが、これが原因でテープが絡んだものと思われます。
アイドラーを取り出してゴムを交換します。外径15mm内径12mm厚さ2mmです。
元通りに組み立てます。動作音出しOKです。
これはサービスマニュアルが無いと気づきませんが、テープ速度のツマミはこの奥にあります。
アジマス調整はフォワード、リバース両方行う必要があります。ヘッドの両側の調整ネジを回します。
バイアスのクイックオートチューニングが搭載され、2秒ほどでセッティングが完了します。
完成しました。ほぼ1日がかりの整備になりました。落ち着いた大人の音色を奏でています。こういった高級リバース機もなかなか良いですね。