朝起きてパソコンを立ち上げると、オークションに出品していたGX-73が落札されたとのメールが届いていました。
もちろん整備済みの機器ですが、すぐに梱包して発送手続きというわけにはいきません。万一のことも想定して、発送前には必ずひととおりの点検を行うことにしていますので、まずは機器をアンプに接続して電源を投入しました。
ところが、録音済みのテープをセットして再生ボタンを押しても音が出ません。メーターもまったく振れません。テープは走行していますので、何かの間違いかと思い、テープを替えたり、CDプレイヤーを接続してSOURCEに切り替えてもうんともすんとも言いません。
・・・故障です。しかし、メカであれば長期保管中にゴムベルトの劣化やグリス硬化により故障することはありますが、整備してわずか1か月ぐらいで基板が自然に故障するということは考えにくいことです。
早速修理に取り掛かります。まったく音が出ないという故障は電源ラインの不具合と考えて間違いはありません。まずはヒューズを点検しましたが問題はありません。
次に考えられるのは、半田付け箇所の接触不良ですので、怪しいと思われる箇所を指で触っていると、トランジスタの前に取り付けられている電解コンデンサーが「フニャ」という感じで動きました。取り外してみると端子が腐食して切断しています。
「電解コンデンサー」「腐食」というと、「液漏れ」を連想しますがそうではありません。ではなぜ腐食したのかというと、トランジスタの放熱板を基板に固定するための接着剤が原因のようです。この接着剤が必要以上に多く塗られ、電解コンデンサーの端子にまで及んでいました。念のためもう片方も点検したところ、やはり腐食が進んでいました。このデッキを整備した1か月ほど前はギリギリ大丈夫だったようです。
通常では考えられませんが、30年以上経過するとこういった想定外の故障が発生することがあります。今回はメイン基板のトラブルでしたが、GX-73(93)にはコントロール基板にも同様の箇所がありますので注意が必要です。