以前からお取引をいただいているお客様から、珍しいカセットデッキの修理依頼がありました。
テクニクスの高級3ヘッドカセットデッキRS-B100です。
「再生が途中で停止」「早送り巻き戻しが遅い」とのことです。トレイ開閉の不具合解消、キャプスタンベルト交換、OUTPUT-VOLのガリ修正はオーナー様自ら行ったとのことです。
私が受け取った時点ではまったくリールが回転しません。また、カセットハウジングのバックライトが光っていませんが、元々点灯しない仕様でしょうか?
カバーを開けました。リールモーターは回転しますが、ベルトがスリップしています。
メカは上下5本のビスを外すと、フロントパネルを脱着しなくてもギリギリ取り出すことができます。メカは、以前扱ったことのあるRS-B85という機種とはまったくシステムが異なっています。
キャプスタンモーターの基板を外し、
リールモーターブロックを取り出しました。ベルトは硬化し菱形に変形しています。
折長50mmのベルトをセットしました。
点検を進めます。中央に写っているのがバックライト用の電球ですが、点灯していません。
電圧は12Vです。ムギ球を交換します。
アイドラーの状態を点検します。ゴムの硬化によりスリップが見られますが、特殊なタイプでパーツ交換は不可です。
スリップ対策として、アイドラーゴムの表面を研磨し、スリップするシャフト部分にシリコンチューブを被せます。
アイドラーをリールに押し付けるスプリングも強化タイプに交換します。
と、ここで、先ほど交換したムギ球が、触れないほど発熱していることに気づきました。これでは不安が残りますので、LED仕様に変更します。
サイズがピッタリのLEDをセットします。電圧調整のために470Ωの抵抗を直列に接続します。
いい感じです。今度は発熱の心配はありません。
次に移ります。メカの動作状況を検知するリーフスイッチの接点を清掃します。
ヘッドとピンチローラーの状態は良好です。専用クリーナーで清掃します。
本体にメカを戻して動作テストです。
動作良好です。バックライトもバッチリです。
テープ速度OK、テープパスも問題ありません。
再生ヘッドのアジマス調整OK
録再バランスOK
聴感テストです。バイアス調整幅が比較的大きいので音の変化が楽しめます。
完了しました。