今週2台目の57ESです。「巻き戻し不良」ということです。
予想に反して、巻き戻しも含めテープ走行はそう悪くはありません。
しかし、再生音が出ません。内部からリレーの「カチカチ」という音が断続的に鳴っています。ヘッドが汚れかRFアンプ故障のどちらかです。
ヘッドクリーナーでは改善されませんでしたので、RFアンプの点検を行います。
〇印がついているのは、手持ちのスペア品です。これと換装してみます。
周期的にノイズが乗りますが音が出ました。RFアンプの故障が確定しました。
カバーを開けます。基板実装型電解コンデンサーの端子が液漏れにより汚れています。
6ケすべて撤去し、リード型を取り付けます。
狭くてもレイアウトを工夫すれば大丈夫です。さあどうでしょうか?
バッチリです。ノイズは後ほど解消します。
メカのメンテナンスに移ります。トレイを切り離します。
ヘッドに悪影響を及ぼす標準のスポンジ製ヘッドクリーナーを撤去します。
経年により変質しボロボロです。問題はこの後です。
ヘッドのドラム表面にスポンジかすがこびりついています。拭いただけでは取れません。このままだとテープを削ってしまいます。
研磨剤を爪楊枝の先に塗り、磨きました。これで大丈夫です。
メカを裏返して基板を取り外します。
リールメカも切り離します。
割れやすいギヤの留め具をEリングに置換します。
回転するギヤやリールを脱着しグリスアップします。
メカを組み立てて、本体に戻し試運転を行いましたが、最初と変わらずノイズが周期的に発生します。ヘッドの信号を点検したところ、テープ走行に問題があることがわかりました。
ヘッド左側のテープガイドの高さを調整し、ノイズを解消することができました。
ヘッドホン出力にガリが発生していましたので、VOL背面の隙間から接点復活剤を微量吹き込みます。
各モードでの録音再生状態を確認します。
オーナー様から巻き戻し不良が発生したテープを送っていただきました。問題なく巻き戻しできることを確認します(注:57ESでは、巻き戻し開始位置などによっては操作後2秒程度もたつくことがありますが、故障ではなくこの機種の仕様です。)。
修理完了です。