今日はSONYのプロ用DATデッキPCM-2700と2700Aの修理を行いました。
まずは2700Aです。テープ走行は可能、音も出ますが、酷い雑音です。テープパスに不具合があるものと思われます。
早速カバーを開けて点検を行います。背面の端子以外は民生用のDTC-77ESと瓜二つです。標準装備のスポンジ製ヘッドクリーナーが気になります。
ヘッドの信号をチェックします。やはりテープパスが狂っていますが、
調整を行おうとしたところ、テープガイドがグラついていることがわかりました。メカ内部の固着が起きているようです。
メカを取り出して、まずはトレイを脱着してスポンジ製ヘッドクリーナーを処理します。
ほぼ100%、スポンジが変質しています。放置しておくとヘッド表面が腐食しますので撤去します。
念のため拡大鏡でヘッド表面を目視点検します。問題はありません。
メカを裏返して基板を取り外します。
モーター類などの構成ユニットを順番に分解していきます。
このリングギヤに不具合が生じています。
可動部に塗られたグリスが固まって動作不良を起こしています。
CRCで固まったグリスを溶かしながら丁寧にふき取ります。
モーターの動力をリングギヤに伝達するベルトも重要部品です。硬化変形していますので新品交換します。
2DDリールメカのブレーキの効き具合を点検します。パッドの剥がれも無く、効きも十分です。
元通りに組み立てていきます。
メカを本体に組み込む前に調整を行います。ノイズは無くなりました。
録音状態の点検を行い修理完了です。
続いてPCM-2700です。再生開始後数秒で停止するとのことです。
再生してみました。右側のリールが回転していません。
先ほどの2700Aとはほぼ同一です。メカを取り出して、点検を進めます。
スポンジ製のヘッドクリーナーを撤去しました。
メカを分解していきます。
リールが固着して回りません。ブレーキパッドが貼り付いてしまったようです。固着していない側もパッドが剥がれた形跡が残っています。
リールメカを分解します。
ブレーキです。黒いフェルト製パッドが貼り付いて、それが剥がれてボロボロです。
張り替えました。
先ほどの2700Aと同様、可動部の固着が見られましたので分解清掃、グリスアップし、ベルトを交換し組み立てます。
試運転です。こちらも酷い雑音です。
テープパスの調整を行いました。
修理完了です。2台並べてみましたが、違いが分かる方いらっしゃいますか?正解は2700Aにはリモートやデジタル入出力などの背面端子が追加されているということです。正面からでは、フロントパネルに印字されている機種名でしか判別できません。
なお、2機種ともプロ仕様のため、外部機器とのアナログ接続はキャノン端子となっています。そのためか、かなり民生機とは入出力のゲインが異なります。
そのためかアンプによっては歪むことがあります。調整する場合は、写真のカバーがついているところにあるVOLを回しますのでご参考としてください。