今日の修理は、中古稼働品として購入したというDTC-59ESですが、色々と不具合を抱えているとのことです。
不具合の状況としては、以下のとおりです。
1 テープ速度が不安定
2 ノイズ発生
3 トレイ開閉(勝手に閉まる)
早速修理に移ります。
カバーを開けて観察します。標準のスポンジ製ヘッドクリーナーが残っています。ヘッドを侵していないか後ほど点検します。
テープを再生してみると、リールの回転が不安定なのが目視ではっきりわかります。あまり聞いたことの無いノイズが不定期に発生します。
メカを降ろして分解整備を行います。トレイ開閉の不具合については、このプラスチックパーツ同士の摩擦増大が原因ですので、シリコングリスを施します。
スポンジ製ヘッドクリーナーを撤去します。幸いにもヘッドには悪影響を及ぼしていませんでした。
メカを裏返しました。過去に分解された形跡があります。
基板、リールユニットの順に分解していきます。
このメカの最大のウィークポイントです。可動式テープガイドを駆動するギヤを固定する樹脂製パーツが割れて脱落寸前です。Eリングに置換します。
キャプスタンモーターを脱着して可動パーツを分解しグリスアップします。
リールメカも稼働パーツを脱着しグリスアップします。
ピンチローラーは新品のように弾力性があり綺麗です。
一旦ここで組み立てて試運転です。ところがまったく改善が見られません。
ほかの機体にメカを搭載しテストしましたが、同様でしたのでメカ部に不具合があるのは間違いありません。
キャプスタンモーターを交換してみます。
かなり症状が改善されましたが、やはりノイズが発生します。ということは基板の故障でしょうか?
この基板はチップ型の部品が使用されていて、パーツ単位での修理は非常に困難なことから、費用的な面を考慮し、手持ちの中古基板と交換します。
今度はどうでしょうか?ようやくノイズは発生しなくなりました。オーナー様には少し様子を見てから修理完了と判断したい旨をお伝えし、当分の間、テストを継続することにしました。
翌日になりました。LONGモードで3時間以上連続録音し、再生テストを行います。・・・ところが酷い状態です。不定期に音飛びが発生します。メカ部の故障ではないのでしょうか?ということで、再度ほかの機体にメカを搭載し、テストを行ってみると、先ほどまでの不調が嘘のように快調に動作します。メカの不具合は解消されましたがメイン基板にも故障があるようです。
かなり以前に解体したDTC-59ESのメイン基板の在庫がありましたので、交換してみることにします。
これでようやくノイズが発生しなくなりました。ヘッドの信号も綺麗に出力されています。再度LONGモードも含め長時間の録音再生テストを行い、正常に動作することを確認できました。
ようやく完成です。