GX機(GX-93,73、GX-Z9000、7000、GX-Z9100、7100)の故障時に、かなりの確率で破損が発生する箇所があります。それは、タイトルに書いたように「テープガイド」です。
この写真は、R側のテープガイドです。黒色のものは、形状は変わりませんがGX-93やGX-Z9000時代のものです。向かって右側がデッキの奥側になりますが、すべて奥側のガイドが破損しています。ジャンク品としてオークションに出回っているデッキの3割程度にこのような破損が見られます。ただし、機種によって材質が異なるためなのか、EV機を除くGX-9100(7100)が最も破損しやすいように思います。
それではなぜこのような破損が起きるのでしょうか?
GX-93です。これはトレイが開いたときの状態です。ヘッドとピンチローラー、テープガイド(以下、「ヘッド等」)はテープに引っ掛からないように下限まで下がっています。
これはトレイが閉まったときの状態です。ヘッド等は先ほどよりも少し上がって、正面から見ると、カセットテープの中に入り込んでいます。電源を切ってもこの状態は変わりません。
これは再生時です。ヘッド等は上限まで上がっています。このように、ヘッド等の位置は状況によって3段階に移動します。
一方、GX機の故障で最も多いのは、ピンチローラーアームの支点部に塗布されたグリス固化による固着です。この固着は、長期間機器を使用しない状況が続くと起こりやすく、酷いときはまったく動かなくなります。要するに上から2番目の写真の状態でヘッド等が固定されるということです。
そのときにテープがセットされている場合は、もちろん、テープがヘッド等に引っ掛かってトレイを開けることができません。それを無理やり馬鹿力で開けるとどうなるかというと、一番脆弱なテープガイドがカセットハーフと干渉して破損することになります。
このことは、L側のテープガイドにも同じことが言えますが、造りがR側よりも頑丈なため、破損しにくくなっています(R側の1/2程度)。
問題は、破損したテープガイドの修理です。非常に細かい箇所の破損ですので、補修は困難なため別のジャンク機から移植することが一般的ですが、非常に入手が困難となっています。
くれぐれも無理やりトレイを開けることのないようにお願いします。