昨日のTC-KA5ESと同じお客様がお持ちのTC-K333ESLです。
電源を入れましたが、様子が変です。
カセットハウジングのランプは点灯していますが、カウンター、メーターが点灯しません。操作ボタンも無反応です。オーナー様に確認すると、これまでそのような不具合は起きたことがないとのことしたが、いずれにしても電源ラインの故障が疑われます。
カバーを開けて点検を行います。キャプスタンは回転しています。
電源基板のガラス管ヒューズ、過電流保護素子が絶縁していないか点検します。異状ありません。
ところが、電源のONOFFを数回繰り返しているうちに、突然点灯するようになりました。しかし、その後、やはり不点灯となりました。
化粧パネルを外したところです。不点灯ではなく、うっすらと点灯していることがわかります。ということは、どこかに接触不良が起きて電圧が低下しているということです。
接触不良が起きている場所を特定するために、パーツを順番に指で少し押し付けてみます。そうすると、電源基板のコンデンサーに触れたときにディスプレイが点いたり消えたりしました。ここに接触不良が起きているようです。
電源基板を取り外しました。半田付けの状態を点検します。
左写真の中央部の2つの端子が先ほどのコンデンサーです。見た目では分かりませんでしたが、裏面に取り付けられているコンデンサーを揺すると、端子が動きますので半田割れが起きています。
通常、半田クラックというのは、半田そのものが割れてしまうのですが、今回は、パーツの端子と半田との間が絶縁するという非常に珍しいケースです。再半田を行い、無事電源部の修理は完了しました。
これでようやくメカのメンテナンスに移れます。この後の作業は昨日のKA5ESとまったく同じです。
硬化したピンチローラーを同サイズの代替品新品に交換します。
キャプスタンモーターの分解を行います。
電解コンデンサー液漏れにより端子が腐食しています。新品に交換します。
ベルト交換、グリスアップし組み立てます。7
メカフロント部の分解を行い、劣化し伸びきったベルトを交換します。
ロータリーエンコーダーの接点を清掃します。
テープの検出スイッチの接点を清掃します。
元通りに組み立てます。
本体にメカを戻し、ミラーカセットをセットしてテープ走行状態の点検を行います。
315Hzのテープを再生しています。テープ速度OKです。今回、オーナー様の意向によりヘッドアジマスは調整を行いません。
バイアス調整を行った状態で入出力レベルバランスを調整します。
最後にCDを録音して聴感テストを行い、
修理完了です。