これまで何度か取引いただいているお客様から、今回はTC-KA3ESの修理依頼をいただきました。
今回の修理はいつもとちょっと趣向が異なります。
不具合の状況としては、
1 ディスプレイが不点灯となることがある。その時は操作不可となる。
2 テープ走行不良(キズ・シワが付く)
3 OUTPUT端子の脱落
2のテープ走行不良については、ヤフオクで修理を出品している業者に依頼したものの、改善が見られなかったということです。
早速修理に取り掛かります。困った?ことに、ディスプレイが点灯しています。修理をする場合、不具合が発生している状態の方が場所の特定は容易です。
症状は、昨日修理したTC-K333ESLとまったく同じですが、電源部の故障でしょうか?
まずは走行不良の修理を行います。
L側ピンチローラーの位置を測定しています。標準値よりも0.2mm奥の位置となっています。
ピンチローラーを取り外し、同サイズの新品に交換します。
以前交換したと思われるL側ピンチローラーです。ゴムも異常に柔らかく、コアの部分が簡単に外れる粗悪品です。
正規の位置に調整し取り付けました。
メカを本体に組み込んでテープパスを点検します。
ヘッドアジマスを点検します。狂いが見られます。
位相合わせを行います。
入出力バランスを調整します。
ピンジャックを補修します。抜け止め措置を施しました。
走行テストは、テープが最も薄く条件の厳しい150分テープで行います。ところが、
3分ほど再生したところで、写真のように表示パネルの暴走が始まりました。テープ走行も停止・再生が繰り返されます。正常な状態に戻らないので、ちょうど昼時ということもあり、電源をOFFにし1時間ほど放置します。
休憩が終わり、再度チャレンジです。・・・復旧しています。ところがやはり3分ほどで暴走が始まりました。時間の経過により不具合が発生するということは、温度の変化が大きい箇所に不具合が起きていることが考えられます。
発熱すると言えば電源です。基板を取り外して半田付けの状態を点検しましたが異状はありません。
続いて、ディスプレイ基板を点検します。
FL管の取り付け部(写真は修正前)と、電源に接続しているコネクタの半田付け箇所(写真は修正済み)にクラックが見られます。これが原因だったのでしょうか?
復旧しました。しかしまだ安心できません。いつもより長めのテスト運転を行います。
150分テープで2日間、数往復再生を行いましたが以前のような不具合は起こりません。もちろんテープにキズが付くようなことも無くなりました。以上修理完了です。