PIONEERのカセットデッキ、CT-700の修理依頼をいただきました。
テープ走行が不調とのことです。
何とかヨタヨタとリールが回転しますが、数秒で停止します。
カバーを開けて点検します。見たことの無いメカです。ベルトがスリップしているのが確認できました。
この時代のPIONEERの製品は、コネクタは用いられておらず、配線はすべて半田付けです。したがって、メカを取り出すことは非常に困難です。
フロントパネルを外します。
メカと基板を繋ぐリンケージを切り離します。このころの録音システムは、レバーを押すと、このリンケージにより基盤のスイッチを動かす仕組みになっています。
やはりメカを取り出すことはできません。窮屈ですが、このままで作業を進めます。
交換したいアイドラーにアクセスするためには、フライホイールを取り外す必要があります。ソレノイド、バックプレート、フライホイールの順に分解していきます。
ようやくアイドラーに到達しました。
アイドラーは3つあって、再生・早送り・巻き戻しのそれぞれの専用です。外径16mm、内径11mmです。
ベルト3本も新品に交換します。
動作確認します。正常に動作しましたが、長時間再生していると、突然テープ走行が乱れました。
メカを観察すると、交換したアイドラーゴムがよじれていました。
密着力の強い弾性の高いタイプを使用したのですが、相当トルクが掛かるようですので、硬度の高いものと交換します。
ところがここで、トラブルが発生しました。
テープをセットするだけで、オートストップ用のソレノイドが「ガチャン、ガチャン」と誤作動を起こします。
回路図はありませんが、メカの背部にセットされている基板がオートストップ関連のようです。再半田を行ったところ、不具合は解消されました。
テープ走行は正常になりましたので、調整に移ります。315Hzのテープを再生していますが、2%程度狂いがあります。
キャプスタンモーターの背面にある穴に細いドライバーを差し込んで調整します。
ヘッドアジマスを調整します。
入出力レベルを調整します。
完成しました。大変存在感があって、見ていて楽しいデッキです。