今日は珍しいデッキです。タイトルを見て、どのような機種か頭に思い浮かぶ方は、相当のマニアといって間違いないでしょう。
なぜなら、家電販売店では通常見ることのできない業務用のオートリバースWカセットデッキだからです。民生用ではTC-WR965Sという機種名で販売されていたようです。
不具合は、「リレー再生時に停止したり、ヘッドがガチャガチャ言ったりする」というものです。しかし、到着後に点検したときはリレー再生は正常でした。しかし、やはり操作切り替え時に「ガチャガチャ」とヘッドが反転したりします。
早速カバーを開けます。メカはTC-WR990などの高級機のWデッキと基本的には同じですが、コネクタなど細部が異なります。
メカを取り出しました。フライホイールのバックプレートを支えるプラスチックのパーツが折れた箇所を補強しています。このメカのウイークポイントのひとつです。
メカを分解していきます。
フライホイールを取り外します。
メカを二つに分離します。数年前にベルト類は交換されたとのことですが、このベルトは最大のウイークポイントですので新品交換します。
ロータリーエンコーダーを取り外します。
接点が酷く汚れています。これが誤作動の原因です。
清掃し、研磨を行います。最後に専用のグリスを施し組み立てます。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
モーターブロックを組み付けます。
キャプスタンに微量グリスを塗布し組み立てます。
ピンチローラーも数年前に交換したとのことですが、状態が良くありません。
TC-K555ESLと同じですが、コアに充填剤を組み合わせたトラブルの起きやすいタイプです。同サイズの代替品新品に交換します。
デッキAの整備が完了しました。テープ走行OKです。ガチャガチャという誤作動は起きません。
315Hzの信号が録音されたテープを再生し、サービスマニュアルを見ながらテープ速度を倍速・標準・可変の順に、基板上のトリマを回して調整します。
倍速です。右写真は調整後です。
ヘッドアジマスを調整します。オートリバースですので往復行います。
オートキャリブレーションを作動させ、
入出力レベルを調整します。以上デッキAが完了です。
続いてデッキB4です。向かって右側のドルビー基板の脱着が必要です。
(以下デッキAと同様のため記事は割愛します)
デッキBの整備が完了しましたので、動作点検を行います。リレー再生も正常です。
完了しました。