今日はGX-Z9000の修理を行いました。当店の最も得意とするデッキのひとつです。
いつもどおりメカの修理を終えて、テープ走行と音出しの確認です。
しかし、L chの音が出ません。
LINE INに音源を接続し、「SOURCE」に切り替えましたが、同様です。再生のみ音が出ないということはこれまで何回も経験しましたが、入力もというパターンは初めてです。基板の故障でしょうか?
(写真は別のデッキの基板です)さあ面倒なことになりました。
回路図とにらめっこしながら、関係しそうなところを点検していきます。
ICやトランジスタを交換しましたが、まったく状況は変わりません。そうこうしているうちに3時間以上経過し、かなり疲れが出てきましたが、不具合個所を特定するためにいろいろなことを試します。
入力の不具合とは関係ありませんが、再生ヘッドのコネクタを左右逆に差し込んでみました。
驚きました。不具合が左右入れ替わりました。ということは、再生回路は正常で、問題はヘッドということになります。GXデッキは100台以上修理してきましたが、ヘッドの故障は初めてです。では、なぜ入力にも同じ不具合が起きているのでしょうか?
まさか?と思いバランスツマミを何回か左右に回します。・・・復旧しました。「SOURCE」でLchの音が出ないのは、VOLの接触不良であることが判明しました。今回はヘッドの故障とバランスVOLというまったく別の不具合が、たまたま同じLchに起きていたということになります。
GXヘッドです。パーツボックスに最後の1個が転がっていました。
早速ヘッド交換を行い、復活しました。ここまで丸一日掛かりました。
今回は、「原因は回路の不具合」「ヘッドの故障は無い」という先入観により判断を誤り迷走しましたが、良い経験をしました。初心に帰って精進します。