久しぶりにTC-FX606Rの修理依頼をいただきました。
テープ走行しないということです。
スライド式のトレイ開閉はOKです。
メカを取り出します。ケーブルがジャングルのようになっています。
メカ向かって右側にトレイをスライドするためのベルトがあります。比較的スリップしやすい構造になっていますので新品ベルトに交換します。
以前修理されたときのミスが見つかりました。アースが宙に浮いています。
メカを裏返してフライホイールを支えるプレートを取り外します。ベルトが3本見えますが、いずれも硬化・伸びによりスリップしています。
折長50mm、60mm、155mmです。155mmという特殊なサイズは在庫がありませんので、ネットで注文します。内径100mm・幅5mmです。
点検中にカセットハウジングランプが消えているのが見つかりました。このランプは、リール回転検知ユニットの光源を兼ねていますので、ランプ切れを起こすとテープ走行が自動で停止してしまいます。
同じランプは入手できませんので、LEDを加工します。4.8Vが印加されていますので、100オームの抵抗を直列接続します。
この後はベルトが入荷してからの作業となりますので、今日はここで一旦中断します。
2日後にベルトが入荷しました。
ベルトを掛ける前にキャプスタンのシャフトにグリスを塗布します。オートリバースですので、左右キャプスタンが逆方向に回転するようにベルトを掛けます。
左右ピンチローラーを新品交換します。径13mm幅8mmシャフト径2mmです。
テープをセットし、ケーブルを仮接続して動作確認を行います。オートリバース動作も含め良好です。
テープ速度調整を行います。315Hzのテープを再生していますが、324Hzですので3%速い状態です。キャプスタンモーターの背面の穴にドライバーを差し込んで調整します。
ヘッドアジマスを測定します。少し狂いが見られます。
オートリバースですのでFWD・REV両方で調整します。
メカを本体に戻します。
録音再生レベル調整を行います。クロムポジションに合わせます。
完成しました。
スライド式トレーは引き出したままでも再生可能です。