PIONEERのDATデッキ、D-06の修理依頼をいただきました。15年ほど前にトレイの不具合でメーカー修理したものの、その数年後にノイズが混じるようになり、以後不使用となっていたということです。
機器が到着しましたので、雑音の発生具合を確認します。少し前にD-07の「チリチリ音」の修理をしましたが、少し様子が違います。D-07のときは、常時雑音が混じっていましたが、このD-06は、不定期に「ジジッ」というノイズが混じります。また、録音も不調、メカもバタつきが見られ、かなり調子が悪い状況です。
どこに不具合が起きているのか切り分けるために、メカを私が持っているスペアと交換します。するとノイズは出なくなりました。ということは、ヘッドかRFユニットのどちらかが故障しています。
RFユニットを交換します。状況は変わりませんので、ヘッドの故障が確定しました。
ヘッド交換を行います。メカを裏返してユニットを固定している4本のビスを緩めます。
ドラムヘッドの上に取り付けられているのは、RFユニットです。
PIONEERのデッキは、中~後期の2ヘッドモデルはドラムユニットが同一です。
他の箇所のメンテナンスも併せて行います。
テカリが見られるピンチローラーは研磨し専用クリーナーで処理します。
メカのバタつき解消のため、ロータリーエンコーダー分解清掃を行います。
接点に汚れと摩耗による段差が見られます。
清掃・研磨し、接点用の専用グリスを塗布します。
RFユニットの電解コンデンサーをリードタイプに交換します。
メカとローディングユニットを元通りに組み立てて、ローディングベルトを滑りにくいバンコードに交換します。
メカの整備が終わりましたので、本体に戻します。お客様からお送りいただいたテープを再生します。
ノイズは発生しません。
ヘッド交換を行いましたので、念のためテープパスを測定します。ドラムユニットの組み立て精度が高いため、問題はありません。
なお、カセットデッキもそうですが、テープパスが自然に狂うことはまずありません。
各モード(写真はハイサンプリングモード)での録音再生状況を確認します。
SONYのデッキと同様、PIONEERもヘッドホンVOLに酷いガリが発生します。機器内部からVOL背面の隙間に接点復活剤を吹き付けます。
完成しました。