近郊の方からカセットデッキの修理依頼をいただきました。
SONYのオートリバース機、TC-RX715です。
電源を投入すると、モーター音が鳴り響きますが、ディスプレイが点灯しません。
内部の点検を行います。メカは少し前に修理したTC-WR965Sとまったく同じです。
メカを取り出します。
基本的な構造はESシリーズのデッキと同じです。
カセットホルダーとバックプレートを取り外します。
ベルトが無い?と思ったら脱線していました。
分解を進めます。キャプスタンベルトは加水分解により伸びきっています。
さらに分解します。
モードベルトも加水分解しています。
力の掛かる場所ですので、新しいベルトを掛ける前にプーリーをアルコール清掃します。
ベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを取り外します。
分解します。かなり汚れています。
左写真はアルコールで汚れを拭き取ったところです。接点が移動した箇所に段差ができていますので、研磨します。右写真は完了後です。
組み立てる前にスライド接点専用グリスを塗布します。
テープ検出スイッチのカバーを脱着して接点を清掃します。
メカを組み立てていきます。この段階ではベルトは仮掛け状態ですので、組み付け後に上部の隙間からピンセットでベルトを摘まんでモータープーリーに掛けてやります。
キャプスタンにグリスを塗布し、キャプスタンベルトを取り付けます。
硬化しているピンチローラーを交換します。
交換後です。元々付いていたものは、コアとゴムの間に充填剤を用いているトラブルの多いタイプです。
メカの整備が完了しましたので、本体に戻します。
ディスプレイが点灯しました。
120分テープを再生していますが、走行状態は良好です。ちょうど昼時になりましたので、再生状態のまま放置し試運転を継続します。
1時間ほど経過しました。テープ速度を計測します。ベルト交換等を行いましたが、偶然にも規定値内です。
アジマスを点検します。左はフォワード、右はリバースです。
フォワードはヘッド左側、リバースは右側のネジを回します。
お客様のご要望により、フォワードはジャストより手前に合わせます。これで往復ほぼ同じ条件となりました。
AUTO CALを動作させ、
左右同レベルの音源を録音し、再生レベルと同じになるよう調整します。
CDを録音し聴感テストを行います。
120分以上の長尺テープの走行とリバース動作の確認を行い修理完了とします。