今日は、1か月ちょっと前に、オークションに出品し落札されたAKAIのGX-R75CXの話です。
商品をお届けして3週間ほど経過したときに、落札されたお客様からデッキに不具合が起きている旨のご連絡をいただきました。
症状は、「リールが回転しないことがある」というものです。この機種は、ギヤ式アイドラーですので、ゴム式のようなスリップはありえません。ということは、アイドラーのギヤ欠けかアイドラー自体の動きが悪くなっているということです。
さっそく機器をお送りいただき、ギヤを点検しましたが、欠けてはいません。そこで、アイドラーの振り子の支点部に注油を行い、動作確認を行ったうえでお客様のところにお届けしました。
しかし、1週間も経たないうちに、「症状が再発した」とのご連絡をいただきました。
再修理ですので、今度は送料着払いでお送りいただきました。
短時間の動作テストでは症状は現れませんでしたが、不具合が起きていることに間違いはありません。
原因を調査するためにメカを分解します。まずは、カバーを開けます。
メカを取り出してカセットホルダーを切り離します。
白いT字形のパーツの後ろにアイドラーがあります。
リール周りを分解しないとアイドラーにアクセスできません。
前回は気づきませんでしたが、アイドラーが割れています。原因は間違いなくこれです。アイドラーというのは、ギヤと振り子部分の摩擦力を利用して左右に振れるようになっています。
しかし、経年劣化により振り子部(黒い部分)が割れて、ギヤを固定しているシャフトが緩くなったために、シャフトがスリップし、ギヤと振り子の摩擦力が低下し、振り子の動きが悪くなったというのが今回の故障の原因です。
スペアパーツを用意しました、A&Dになってからのパーツです。材質も割れにくい柔らかいものに変更されています。メーカーもこの欠陥?を把握していたのでしょうか。
元通りに組み立てて、動作テストを行います。
10分テープをセットし、長時間リバース動作を繰り返し修理完了を確認します。振り子部が黒いタイプのものは、同じ故障が起きると思いますので、今後、注意が必要です。