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オーディオライフ:カセットデッキ、DATの販売・修理を行っています。故障でお困りの方はご連絡ください。

TC-VF1

SONY TC-VF1

投稿日:2020年3月28日 更新日:

タイトルを見て、おそらく99%の方はどのような機種のことかわからないかと思います。

なぜなら、単体販売されていないシステムコンポ用のカセットデッキだからです。

オーナー様のお話では最近、異音が発生しだしたということです。動作確認したところ、ときどき反応しないときがありましたが、テープの出し入れや操作を切り替えると正常に戻りました。

事前のリサーチで、この機種には当時のTC-RX715やTC-WR965などのSONY製オートリバス機のメカとほぼ同じものが採用されているということは確認していました。ただし、ローディングメカは、ご覧のとおりスライド式となっています。

メカを脱着するためにはフロントパネルを少し前に引き出す必要があります。

側面です。片側はローディング用のプーリー、反対側はキャプスタンモーターです。

薄型のデッキのため、キャプスタンモーターの取り付け位置に工夫が見られます。

トレイメカを切り離します。

メカ本体が現れました。キャプスタンモーターはSONYの他機種とは上下が逆に取り付けられていますので、モーターの形式(回転方向)も異なります。

テープを押さえるプレートと背面のプレートを取り外します。

フライホイール、ベルトを取り外します。

モーターブロックを分離します。アシストモーターのベルトの状態は良好ですが、

メカの心臓部にあたりますので新品交換は必須です。

ロータリーエンコーダーを分解します。

汚れを除去し、接点の段差を研磨します。最後にスライド接点専用のグリスを施します。

テープ検出スイッチのカバーを脱着し、接点を清掃します。

組み立てです。回転部にグリスを塗布します。キャプスタンベルトは再利用です。

ピンチローラーを交換します。

元通りに組み立てます。

走行テストを行います。正常に動作しますが、時折、「シュルシュル・・・」という異音が数秒~20秒程度発生します。

発生源はキャプスタンモーターです。おそらくモーターの軸受けから発生しているものと思われます。キャプスタンへの負荷のかかり具合によって異音が発生したりしなかったりするようです。

このモーターの型番を検索したところ、海外のオークションサイトで中古品が出品されていました。しかし、中古品については当店でも動作保証ができませんので、今回は交換は見送ります。中古モーターは、モーターが動かなくなるなどした場合に、最終手段として考えることとします。

(整備前の写真を再掲しています)

そこで、一旦メカを本体から取り出して、軸受け部分から粘度の低い機械油を微量注入してみました。すると、それ以降、半日以上再生しましたが異音の発生は無くなりました。また、動作音そのものも小さくなったような気がします。

テープ速度の点検を行います。オーナー様のお話では、FWDよりもREVのほうが速度が速いということでしたが、十分暖機後の測定結果でも上の写真のような結果となりました。

オートリバースデッキでは、キャプスタンモーターは常に同じ方向に回転していますが、キャプスタン自体は左右逆方向に回転しています。そして、FWDでは左側のキャプスタン、REVでは、右側のキャプスタンで回転を制御しています。また、左右キャプスタンとフライホイールは左右違うサイズのものが使用されています。そのため、製造時の加工精度の問題からFWDとREVで微妙な速度差が発生します。

オーナー様の協議により速度はこのままとして次に移ります。

左がFWD、右がREVです。大きな狂いが無いということで調整は行わないこととなりました。

CDを録音し、聴感テストを行いましたが、音が籠っています。

周波数特性を測定すると、明らかに高域が減衰しています。オーナー様にご連絡し、バイアス調整を行うこととなりました。

機器の内部のツマミを回します。オーナー様のご意向により、少し控えめな設定とします。使用テープはTDKのADです。

かなり音質が改善されました。

以上完成です。

-TC-VF1
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