TEACの3ヘッドカセットデッキ、V-670の修理依頼をいただきました。
再生や録音時にテープを痛めることがあるということです。
早速カバーを開けます。非常にシンプルな造りでメンテナンス性も良好です。
メカを取り出して点検を行います。ピンチローラーの表面がかなりテカっています。
ホルダーとバックプレートを切り離します。
表面のみの劣化ではなく、全体的に硬化が進んでいますので、同サイズの新品に交換します。径13mm、幅8mm。軸径2mmです。
左右リールを脱着しグリスアップします。
元通りに組み立てて、巻き込みなどのトラブルが発生しやすい120分以上の長尺テープを使用して走行テストを行います。
モーターが温まった頃を見計らって、テープ速度の測定を行います。315Hzのテープを再生していますが、316.8Hzになっています。0.6%ほど速くなっていますが、これくらいの誤差は聴感では気にならないレベルです。
モーター背面の穴に細いドライバーを差し込んで調整します。
再生ヘッドのアジマスを点検調整します。ほぼ狂いはありませんでした。
315Hz、1000Hz、10000Hz、12500Hzの信号を入力し、録音再生モニターします。
バイアスツマミを回して、モニター(TAPE)のグラフがフラットになるように合わせ、その時に入力と出力のバランスが同じレベルになるように調整します。
CDを録音し、録音状況を聴感で確認します。素晴らしい音質です。
念のため、長尺テープを用いて数時間ほど再生を行い、テープ走行に問題が無いこと再度確認し、完成です。
カセットデッキでは、1980年頃からバイアスキャリブレーション機能が搭載された機器が多く開発されましたが、既に30年以上経過した現在では正常に作動しているものはそう多くありません。そういったことを考えると、こういったシンプルな3ヘッドデッキが使い勝手が良く、メンテナンスもしやすいのでお勧めです。