今日は、SONYのDATデッキで発生した「テープによって不具合が発生する」という現象についての記事です。
機器はDTC-ZA5ESでしたが、その具体的な状況としては、
1 かなり前に同機で録音したテープ(A)は正常に再生できる。
2 最近同機で録音したテープ(B)はノイズ混じりとなる。
3 テープ(B)に原因があると思い、(B)を他の機器で録音・再生すると問題は発生しない。
というものです。「1」と「2」だけでしたらテープの問題ということになりますが、「3」のとおりですので、辻褄が合いません。
機器とテープをお送りいただいて、再生状態を確認してみると、やはり上記の現象が起こります。
「相性」では済まされませんので、少しの間、テープの走行状態を観察していると、時折、リールの動きが不規則になっていることが確認されました。ということは、ピンチローラーのスリップが起こっているということになります。
取り外したピンチローラーです。ゴムの部分を触ると、真ん中辺りは弾力性があるのですが、両端が固くなっています。試しに程度の良いピンチローラーと交換を行ってみると、嘘のように不具合は解消されました。
では、なぜかなり前に録音した古いテープ(A)は正常に再生されたかというと、テープの表面の状態が影響したのでは、と考えています。メーカーの違いやテープの経年変化などにより、テープ表面の摩擦係数が(B)とは異なりスリップが発生しにくい状態であったと思われます。
現在、良品のピンチローラーはほぼ入手不可の状況となっていますが、当店では、ゴム部分の交換による対応も行っていますので、お困りの方は一度ご相談ください。