今日の修理はPIONEERの高級高性能DATデッキ、D-07Aです。
久しぶりに使用したところ、15分程度で停止し、テープも取り出せなくなったということです。
トレイ蓋にセロハンテープが貼られています。カバーを開けてテープを取り出したときにトレイ蓋が閉まらなくなったということです。
この状態では内部のパーツが引っ掛かりイジェクトボタンを押してもトレイが出てきません。
カバーを開けて、手動でプーリーを回してトレイを開けてテープをセットします。
とりあえず再生できましたので致命的な故障では無いと思われます。
メンテナンスを行うためにメカを取り出します。
まず最初に、トレイ蓋の不具合を修正します。蓋の化粧パネルに浮き(隙間)が見られます。これにより、蓋が本体と干渉し、無理な力が加わって、内部ギヤの噛み合わせ箇所が外れ、蓋が開きっぱなしになります。
浮きのある箇所に接着剤を注入し、完全に乾くまでの間、ゴムシートで養生しながらクリップで押さえつけます。1日ほどかかりますので、待っている間にほかの箇所の修理を行います。
メカを裏返し、トレイユニットを切り離します。
テープガイドなどを駆動するモーターです。
内部接点の接触状態を自己回復させるため、モーターを本体から切り離して端子に直接通電し、1時間ほどモーターを空回りさせます。
ピンチローラーです。表面にテカりが見られます。
表面を軽く研磨し、専用クリーナーで処理します。
ローディングモーターです。先ほどと同様、1時間ほど空転させます。
メカを裏返します。
メカの動作を検知するロータリーエンコーダーを分解します。
接点が汚れています。摩耗により段差も見られますので、研磨清掃し、スライド接点専用のグリスを施します。
元通りに組み付けます。
メカを再度裏返します。
液漏れの起きやすい電解コンデンサーを交換します。
ローディングベルトは滑りにくいバンコードに交換しました。
テープをセットします。正常に作動します。
ヘッドホンに酷いガリが出ていますので、内部からVOL背面の隙間に接点復活剤を注入します。
バランスVOLも同様です。
各モードでの録音再生状況を確認し、修理完了というところで不具合が見つかりました。ハイサンプリングモードで録音すると無音になったり、ノイズ交じりの音になります。おそらくヘッド又はRFユニットの故障です。
部品取り用のジャンクD-05からRFユニット(左側)を取り出して換装してみます。
今度は大丈夫です。
換装したRFユニットの電解コンデンサーを交換し、再度メカを本体に戻します。
完成しました。