今回はA&DのGX機に比較的多くみられる基板の半田クラックに関する修理です。
電源投入直後は、何もしなくてもメーターが4目盛りほど点灯していましたが、しばらくすると正常に戻りました。
再生も最初は無音状態でしたが、少し経つと片CHのみ音が出るようになりました。症状から判断すると、基板の電源ラインのトラブルです。おそらく半田クラックで接触不良になっています。
怪しいところは決まっています。発熱の多いトランジスタです。熱による膨張と収縮により半田が割れてしまいます。試しにトランジスタに触れると、案の定、グラグラしています。
カバーを開けました。以前修理の際のコード処理が雑です。
コントロール基板と仕切り版を取り外してメイン基板のプリントパターンにアクセスします。
これが先ほどのトランジスタ取り付け部です。クラックが生じています。
再半田を行いましたが、片側のメーターが振れません。音は出ています。
本体を横にして、底面のフラットケーブルを触ると接触が復活します。ここも半田割れです。
もう一度先ほどの手順に戻って再半田を行います。
今度は完全に治りました。それでは続いて、全体のメンテナンスを行いたいと思います。
メカを降ろしました。この機種によく見られるテープガイドの破損はありません。
ホルダーを取り外し分解します。
ホルダー内蔵のスプリングを脱着して加熱整形します。
メカに固着はありませんが、古いグリスが固まっています。
分解し清掃します。
ピンチローラーを新品交換します。
動きが軽やかになりました。
左右リールとアイドラーを取り外します。
劣化したゴムリングを交換します。ゴムの当たり面はアルコールで脱脂します。
メカ背面の基板を取り外します。
ゴムの当たり面を清掃します。
ベルトを交換します。
テープ検出スイッチの清掃を行います。
新しいベルトに交換します。
メカの整備が完了しましたので本体に組み付けます。
テープ走行と音出しのテストを行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
テープ速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアス調整を行い、入力レベルと、それを録再モニターしたレベルが同じになるように合わせます。
聴感テストを行い、
結束バンドでケーブルを束ね、
完成しました。