ナカミチのCR-40です。オーナー様は同じナカミチのZX-5もお持ちですが、2台とも故障したため、ZX-5は買い取り、そしてCR-40を修理ということで今回ご依頼をいただきました。
早速点検を行います。早送り巻き戻しはできますが、再生が不可です。
カバーを開けます。ナカミチにしては珍しく、銅メッキシャシが採用されています。
メカは他メーカーにも採用されているSANKYO製ですが、ヘッド周りにはナカミチの個性が見られます。
キャプスタンモーターはDDです。
テープセレクターは手動のため、検出スイッチは誤消去防止用しかありません。
このメカの最大のウイークポイントはこのリーフスイッチです。
順番に整備していきます。バックテンション用のベルトがありません。
ベルトが溶けてリールに巻き付いています。清掃し、新しいベルトをセットします。
スイッチ類の清掃を行います。テープのセットを検出するスイッチです。
先ほどのスイッチです。メカの動作状況を検知するためのものですが、接触不良が起こり誤作動の原因となります。
キャプスタンベルトを交換します。
ピンチローラーを交換します。ヘッドの脱着を伴いますが、ヘッドを組み付けの際には特殊な手順が必要ですので、要注意です。
メカを元に戻して動作テストを行います。しかし、やはり再生不可です。
メカを確認すると、キャプスタンが回転していないことが分かりました。指で補助すると回りだしますが、トルクが無く、数秒で停止してしまいます。電圧は正常ですので、モーターに不具合が起きているようです。
メカを降ろしてモーター基板を点検します。
ICが2つ、あとはコンデンサと抵抗、モーターコイルといった単純な構成です。半田クラックは見られません。
電解コンデンサーを交換しましたが変化なしです。ということはICでしょうか?ネットで型番を検索すると、入手は可能なようです。しかし、確信はありません。
そこで、下取り予定のZX-5も同じメカが搭載されていますので、確認のためZX-5からICを移植しました。しかし、残念ながら変化はありません。
思い切って基板ごと交換することにしました。ZX-5とは配線類やコネクタが異なりますが基板は同じです。(左:CR-40、右:ZX-5)
治りました。
調整に移ります。315Hzのテープを再生してテープ速度の調整を行います。
テープガイドの脱着を行いましたので、ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
入出力バランスと録音ヘッドのアジマス調整を行います。
完成しました。