先月に続いてKENWOODのシングルキャプスタン2ヘッドカセットデッキ、KX-880Gの修理依頼をいただきました。
しばらくぶりに使用したところ、リールが回転せず、テープが切れたということです。
早送りや巻き戻しは正常ですが、再生はヘッドが上がりません。
カバーを開けてフロントパネルを取り外します。
メカを取り出し、カセットホルダーとバックパネルを取り外します。
内部のリーフスイッチを取り外す準備を行います。ヘッドブロックを押さえるプレートを外します。そこに現れるビスを緩め、
背面からカムとモーター、リーフスイッチを取り出します。
接点を清掃します。
劣化しているピンチローラーを交換します。
テープのセットを検出するスイッチも清掃します。
メカを上から見たところです。テープポジション検出スイッチです。
分解し、接点を清掃します。
メカを本体に戻して動作テストを行います。再生が開始されましたが、右側リールの挙動が不審です。回ったと思ったら少しして停止します。早送りや巻き戻しは問題ありません。
原因は、このリールモーターです。内部の接点に接触不良が起きています。
モーターを分解します。
接点が黒く酸化しています。
研磨清掃します。
接点の接触が良好になるまで慣らし運転が必要です。テープの無いカセットをセットし、早送り・巻き戻し状態で半日程度放置します。最初は頼りなく回転していたのが、時間の経過に伴い、力強く回転するようになります。
しかし、かなりの改善は見られたものの、長時間再生しているとやはり勝手に停止することがあり、使用に差し支える状態です。
そこで、モーター修復は諦め、移植を試みます。SONYのESデッキに採用されている安定性の高いリールモーターです。外形や電圧などはほぼ同じですので、取り付け穴のちょっとした加工のみでスワップ可能です。
なかなかの調子です。念のため、半日以上再生テストを行い、不具合が起きないことを確認します。
315Hzのテープを再生してテープ速度の調整を行います。
ヘッドアジマスを調整、
左右同レベルの信号を録音再生し、レベルを調整します。
CDを録音再生モニターし、聴感テストを行い、
完成です。