久しぶりに修理依頼をいただいたTC-K222ESLです。私も発売当時の約30年前に購入し、現在もメンテナンスを行い使用しています。
ご依頼いただいた機体は、大きく2点の不具合を抱えています。
1点目は、レベルメーターが勝手に振れるというものです。そして2点目は、再生音がふらつく(ピンチローラーに浮きがある)というものです。いずれも心当たりがあります。
カバーを開けました。TC-K222ESLと後継機の222ESAには、メイン基板上に、アースと基板補強を兼ねた銅板が水平方向に設置されていますが、
この銅板周辺を指で押すと、メーターが振り切りました。想像通りです。
メイン基板を取り外します。
銅板を固定している半田が割れていますので、すべて再半田を行います。
元に戻しました。症状は解消されました。
メカのメンテナンスに移ります。カセットホルダーと化粧プレートを取り外します。
アイドラーとピンチローラーを取り外します。
この白黒という色のアイドラーは初めて見ました。
問題のピンチローラーです。コアとゴムの間の充填剤が抜けて空隙ができています。これではまともにテープ走行しません。なぜこうなるかというと、クリーニングが原因です。薬品が充填剤を溶かしてしまいます。ピンチローラーをクリーニングするときは、側面には、薬品を使用してはいけません。
同サイズの代替品新品と交換します。
キャプスタンブロックを切り離します。
モーターを分解します。電解コンデンサーはすでに交換済みでした。以前修理歴があるということをお聞きしていましたが、電解コンデンサーの液漏れにより基板を損傷したため、修理の際の苦心の跡が見られます。
メカフロント部です。モーターブロックを切り離します。
ゴムベルトはまだ使用可能な状態でしたが、折角の機会ですので交換します。プーリーはアルコールで脱脂します。
ロータリーエンコーダーを取り外します。
分解し、汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布し組み立てます。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
順番に組み立てていきます。
メカの整備が完了しました。
テープ走行&音出しOKです。
ピンチローラーの脱着を行いましたので、ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
テープ速度の点検を行います。許容範囲内です。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアス調整を行い、入出力レベルを調整します。
いつも聴いているCDを録音再生モニターして聴感テストを行います。
完了しました。外装は少しくたびれていましたが、音質は最高です。