今日は当ブログ初登場のTEAC V-900Xです。これまで何度かお取引いただいた道内の方からご紹介いただきました。先日は当店までお越しいただきありがとうございました。
1981年発売のTEACの最上位機種です。
ネットにもあまり情報がありませんので、どのような機種なのかご紹介します。まずはヘッド周りです。コンビネーション3ヘッドのシングルキャプスタンモデルです。
ノイズリダクションはドルビーB/C及びdbxを装備しています。
高級機だけあって大型のディスプレイを装備しています。録音時のフェーダーの時間調整が可能になっています。
OUTPUTは可変タイプ、録音レベルは左右独立調整、バイアスは自動調整となっています。
点検修理に移ります。電源をONにするとモーターが高速回転する音が聞こえますが、トレイは開きませんし、一切の操作を受け付けません。
高機能デッキですので中身が詰まっています。
メカの大きなプーリーに掛かるベルトが切れています。指で回してやるとトレイが開きました。
フロントパネルを取り外します。メカの取り出しに悩みましたが、前に傾けながら前方に引き出します。
DDモーターのシングルキャプスタンです。ベルト交換中の写真を撮り忘れましたが、右写真の右下にあるモーター部分を分解し交換を行います。ベルトは折長約80mmです。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
トレイを分解します。するとアイドラーにアクセスすることができます。
新品交換します。10mm*6mm*2mmです。
ピンチローラーは専用クリーナーで清掃します。
メカを元に戻します。最初はなぜか音が出ませんでしたが、あれこれと操作しているうちに復旧しました。
調整に移ります。315Hzのテープを再生してテープ速度の点検を行います。約1%遅くなっています。
モーター基板のトリマを回して調整します。
ヘッドアジマスの点検を行います。狂いはほぼありません。
左右同レベルの入力をINPUTします。
オートキャリブレーションでバイアス調整を行い、先ほどの信号を録音再生モニターし、レベル調整を行います。
これで終了と思いきや、
dbxをONにするとLchが録音されません。最初はスイッチの接触不良を疑いましたが、何度ONOFFを繰り返しても変化は見られません。
そこで、dbx基板を触ってみると、接触が回復されることがありましたので、底板を取り外し、基板のコネクタ部の半田付けを点検します。すると、やはり半田クラックが見られましたので、再半田を行います。
無事復旧しました。
これで完成です。肝心の音質ですが、SOURCEとTAPEの区別がつかないほど良好です。さすがTEACのフラッグシップですね。