少し前に、当店でカセットデッキを修理されたお客様から、今回はDATデッキ修理のご依頼をいただきました。
DTC-690ですが、多くの不具合を抱えています。
① イジェクトでドアが全開にならず、数秒で閉じてしまう。
② 「POWER」スイッチに接触不良があるようで、少しさわっただけでローディングを繰り返す。
③ 120分テープをよく使うが末端近くからの巻き戻し時、後半徐々に回転が下がり残り20分位で力尽きて停止してしまう。
④ ③の状態からテープを入れ直し、だましだまし巻き戻しボタンを押したりしてみると今度は早送りが始まったりする。
お聞きしたとおり、電源が不安定で勝手にONOFFを繰り返します。
まずは電源の修理を行います。カバーを開けます。
DTC-690は、リヤパネルに張り付けられているトランジスタに不具合が起きます。
基板を取り外します。
案の定、半田クラックが起きていますので、再半田を行います。
それでもまだ不安定です。スイッチを触るだけで電源が切れます。
スイッチの故障です。
スペア品と交換します。これで電源の修理は完了です。
続いてメカのメンテナンスを行います。
カセットホルダーを切り離します。
ヘッドを痛める純正のスポンジ製ヘッドクリーナーはすでに消失しています。不要なアームを撤去します。
ピンチローラーはカチカチに固くなっていますので、ゴムを張り替えた代替品と交換します。
メカを裏返して基板、リールユニットの順に取り外します。
可動式テープガイドの白黒ギヤを固定している樹脂製留め具の脱落防止の処置がなされています。しかし、ネジロック剤のようなものが塗られているだけで、簡単に外れてしまいますので、鋼製のEリングと置換します。
メカが滑らかに動くよう、ギヤを脱着しグリスアップします。
リールも分解しグリスアップします。
ローディング用のベルトがスリップしていましたので交換します。
巻き戻しを押しても早送りになります。スイッチの接触不良が原因です。
フロントパネルを取り外します。
スイッチを交換します。
各モードでの録音再生状況を確認します。
結構な大修理でしたが、完了です。