少し前の9100EXと同じお客様のGX-Z9100EVです。
再生等はできるものの、最近では5分程度で停止することがあるということです。
最初はモーターの音のみでトレイは開きませんでしたが、何度か繰り返しているうちにトレイが開きました。
テープ再生もできますが、全体的に不安定です。
カバーを開けて点検を行います。分解歴は無いように見えます。
メカを降ろしてカセットホルダーを取り外します。
ホルダーを分解し、内蔵されているスプリングを脱着して
加熱整形し機能復旧します。
メカは固着はないものの、動きはグリス硬化により重くなっています。
左側ピンチローラーの劣化が見られます。新品に交換します。(オーナー様からすべて交換との指示を後ほどいただきましたので、この記事の最後に右側交換の状況を掲載しています)
ヘッド周りを分解し古いグリスを除去し、シリコングリスと置換します。
動きが軽やかになりました。
リール周りを分解します。
変わったタイプのアイドラーゴムが取り付けられていました。切り口から判断すると、以前のオーナー様がシリコンホースを切断して流用したと思われます。
ゴムリングと交換します。
メカ背面に移ります。基板を取り外し、
ベルトを交換、汚れたフライホイールを清掃します。
カムモーターのベルトを交換します。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
元通りに組み立てます。
テープ走行OKです。
ここでオーナー様のリクエスト通り、右側ピンチローラーも交換します。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
315Hzのテープを再生してテープ速度の点検を行います。
再生ヘッドのアジマスを調整します。
バイアス調整を行い、左右同レベルの信号を入力します。
それを録音再生モニターし、バランス、録音ヘッドのアジマス調整を行います。
これでCD調整は終わりと思ったら、CDを録音再生モニターすると、ひどい音質です。バイアス調整では修正できません。おそらく以前に再生イコライザーツマミを回されたのが原因です。
そこで、315Hz、1000Hz、10000Hz、12500Hzの信号を録音再生モニターし、それぞれの出力がフラットになるように、基板のツマミを回して調整します。これで音質は大幅に改善されました。これで終わりと思ったら、違うトラブルに見舞われました。
リールが回転しなかったり、トレイが開かなかったりと誤作動が起きます。オーナー様が「5分程度で停止する」とおっしゃっていたのは、これが原因だったようです。
コントロール基板のコネクタ接続部の半田を点検します。予想通り、半田クラックが発生していましたので、修正を行います。
ようやく完成しました。