九州在住の方からA&Dのカセットデッキ2台、修理依頼をいただきました。
1台目はGX-Z9100EXです。5年ほど前にオークションで購入されたデッキで、一度も動作したことが無いということです。
電源を入れるとモーターが7「ウーーー」と十秒ほど唸り、トレイがわずかに開きます。
カバーを開けました。見る限り修理歴はありません。
この機種に多く見られるテープガイド破損はありません。
カセットホルダーを分解し、内蔵されているプラスチック製のスプリングの形状を加熱整形し機能復旧を図ります。
左右ピンチローラーが固着してまったく動きません。
固着部分を半田ごてで加熱しながら分解する必要があるため、プラスチック製のテープガイドを取り外します。
CRCを注入し何とか分解しました。古いグリスをシリコングリスに置換します。
動きが滑らかになりました。
リールをアイドラーを取り外します。
ゴムリングを新品交換し、ゴムの当たり面はアルコールで脱脂します。
フロント面が完了しました。
メカ背面の基板を取り外します。
汚れたベルトは新品交換し、ベルトの当たり面の汚れを除去します。
異音を発しているカムモーターを交換します。
ベルトも新品に掛け替えます。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
元通りに組み立てます。
本体に組み付けて動作テストを行います。
オーナー様からピンチローラー交換のリクエストがありましたので、新品交換します。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
315Hzのテープを再生してテープ速度の点検を行います。
ヘッドアジマスを調整します。
バイアス調整を行い、左右同レベルの信号を入力します。
それを録音再生モニターし、傾き(バランス)と長さ(レベル)が同じになるように調整します。
最後にCDを録音再生モニターし、修理完了です。