先日の77ESと同じお客様からのご依頼です。
SONYの高級ダブルカセットデッキTC-WR990です。
デッキA、BともにREV方向の動作不良があります。
また、デッキBは音が出ません。
今回は、デッキメカは、当店の整備済み在庫品と換装を行います。
メカの整備内訳ですが、当店の「リフレッシュメニュー」に準じた整備を行っています。
ピンチローラー左右交換、
キャプスタンベルト、モードベルト交換、ロータリーエンコーダー分解清掃、テープ検出スイッチ清掃などを行っています。なお、調整は、デッキに組み込んでから実施します。
今回はメカの整備は不要ですが、問題は、デッキBの「音が出ない」という不具合です。ヘッドからの信号を追ってみると、基板の故障であることが分かりました。回路図を見る限りICまたはトランジスタの故障と思われますが、スペア基板がありますの交換を行います。この方が費用面においてメリットがある場合がほとんどです。
メカを取り付けるときに注意が必要です。メカを固定するビスは、上部2本と下部2本で長さの違うものが使用されていますが、長いビスを下部に使用すると、メカの可動部と干渉し、リバース動作ができなくなります。
換装が完了しましたので動作テストを行います。テープ走行、リバース動作OKです。もちろんデッキBの再生音も出力されます。
調整に移ります。まずはテープ速度です。電源を一旦OFFにし、基板上のターミナルをショートさせます。電源をONにしたのち、315Hzのテープを再生します。
ハイスピードダビングスイッチを押すと倍速再生になります。
基板上のツマミを回し、倍速の630Hzに調整します。針が多少上下に振れますので、630Hzを中心となるように合わせます。
次はノーマルスピードで調整を行います。デッキBも同様です。
続いてヘッドアジマスです。オートリバースですので、フォワード、
リバースの両方の調整が必要です。デッキBも同様です。
左右同レベルの信号を入力します。それを録音し、再生します。同じ波形になるまで繰り返し行います。
CDを録音し、聴感上のテストを行います。
完成しました。オートリバースのダブルデッキは、なんといっても長時間再生が魅力ですね。