今日はSONYの3ヘッドカセットデッキ、TC-K222ESJの修理を行いました。
10年ほど前にトレイ開閉不可といった故障が起こり、長期間しまい込んであったということです。
ディスプレイが点灯しません。まったく無反応ですので、おそらく電源の故障です。
カバーを開けて電源を点検します。まずは基本中の基本、ヒューズを点検すると、やはり切れていました。ヒューズが切れる原因は、大きく3つです。
1 基板上の電子パーツの故障によるショート
2 メカの動作不良により一時的にモーターに負荷が掛かったことによる過電流
3 作業中の人為的なショート
「1」については、故障個所を治さなければヒューズを交換しても無駄ですが、「2」や「3」はヒューズ交換のみで治りますので、まずは交換を試みます。
電源が復旧しました。おそらく「2」が原因だっだのでしょう。まずは、ひと安心です。
メカを降ろします。オーナー様からお話しがあった通り、モードベルトが溶けています。
分解を進めます。カセットホルダーと化粧パネルを切り離します。
ピンチローラー、アイドラーを取り外し、
キャプスタンモーターと分離します。
モーターを分解します。
キャプスタンシャフトにグリスを塗布します。
モーター基板の電解コンデンサーに液漏れは見られませんが、
予防措置として新品交換します。
ベルトを新品交換し、組み立てます。
メカフロント部です。モーターブロックを切り離します。
ベルトが溶けてプーリーにこびり付いています。
洗剤で汚れを除去し、アルコールで脱脂します。新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを取り外し、分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布し組み立てます。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
モーターブロックを組み付け、ベルトを本掛けします。
ピンチローラー左右交換します。元々の左側ピンチローラーは、トラブルの起きやすい充填剤が用いられているタイプでした。
メカを元通りに組み立て本体に戻します。テープ走行、音出しOKです。
ピンチローラー脱着後は、ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
テープ速度は許容値内です。
ヘッドアジマスを調整します。
バイアス調整を行い、左右同レベルの信号を入力します。それを録音再生モニターし、同じ波形になるよう調整します。
最後に数種類のテープを用いての聴感テストを行い、完成です。安価なノーマルテープでも音質は良好です。