本ブログ初登場のカセットデッキです。
TEACの3ヘッドカセットデッキ、V-8030Sです。これまで下位機種の6030Sは何度か取り扱ったことはありますが、大きな違いは、キャプスタンモーターがDDであるということです。
オーナー様は、オークションで最近入手されたということですが、不調ということで、今回は当店に2点のご依頼がありました。1点目は走行系のメンテナンスで、2点目は、
再生は正常ですが、
録音状態でSOURCEからTAPEに切り替えると、左チャンネルの出力が異常に小さくなる、ということと、バイアスキャリブレーションの不調に関する修理です。
カバーを取り外しました。重いと思ったら、内側に鉄板が貼り付けてあります。
今回のデッキはテープ走行に大きな不具合はありませんので、まずは、録音に関する不具合の原因を探ります。左右のINPUTに、同レベルの315Hz、1000Hz、10000Hzのサイン波を入力します。
それを録音再生モニターし、レベルやバイアス調整ツマミを調整します。点検の結果、基板やヘッドの故障ではなく、全体的な劣化、もしくは、前オーナーがツマミ類を適当に回したことが原因であったと考えられます。詳細な調整は、メカのメンテナンス後に行うこととします。
メカを覆っているプレートを取り外します。これが無いと、トレイ開閉の際にテープ検出スイッチが引っ掛ってしまいます。
化粧パネルを外して、
フロントパネルの右側を3cmほど手前に引き出します。これでメカを取り出すことができます。
6030Sとは後姿が異なります。
ダイレクトドライブです。
モーター基板を点検します。コイルが美しいですね。コンデンサーが寝ていますが、これが製造時の状態です。基板実装型を嫌ったものと思われます。
シャフト部にグリスを塗布し、ベルトを交換します。
スイッチ類のメンテナンスを行います。まずはテープ検出スイッチです。
接点を紙やすりで研磨します。
続いてメカの動作状況を検知するリーフスイッチです。このメカの最大のウイークポイントです。経年によりここが接触不良となって不動となりますので、先ほどと同様接点を研磨清掃します。
フロント面の化粧パネルを取り外します。左側リールにバックテンション用のベルトが掛かっていますが、
加水分解が進んで弾力はほとんどありません。新品交換します。
ピンチローラーアームを脱着して、劣化したローラーを交換します。
メカのメンテナンスが完了しました。
本体に組み込み、動作テストを行います。もちろん良好です。
315Hzのテープを再生してテープ速度の点検を行います。
ヘッドアジマスを調整します。
冒頭に記載したとおり、入力に対する録音出力が各周波数でほぼ同レベルになるよう、基板上のツマミを調整します。
最後に数種類のテープを用いて録音ん状態を確認し、
完成しました。