A&DのGX-Z7100EVの修理依頼をいただきました。
いくつか不具合を抱えているということです。
(1)Rchから音が出ない
(2)録音のCAL調整を見ると、メーターが振り切れ暴走
(3)無音の入力時に、Rch からピーと言う異常発信音
(4)録音再生するとR/Lの若干の出力差
2年ほど前にメンテナンスを行ったということで、テープ走行は正常です。
当店で出力を確認したときは、メーターは正常に振れて両CHとも音が出ましたが、アースが接触不良になったときのエコーが掛かったような音でした。
早速カバーを開けます。
事前には聞いていましたが、基板面の電解コンデンサーが全数交換されています。
まずは、アース不良を確認します。基板を確認すると、予想通りピンジャック端子の半田が入出力とも割れていました。
再半田を行います。出力はこれで正常に戻りました。入力からの異音もこれが原因だったと考えられます。
キャリブレーション時の症状は再現しませんでしたので、今回は修理対象外となります。
オーナー様からの依頼については以上ですが、他の箇所の点検を行った結果、以下不具合が見られました。
・テープ速度の狂い
・Lch高域不足
・ヘッドアジマスの狂い
・ピンチローラー左右劣化
これらについてもオーナー様からGOサインをいただきましたので、メンテナンスを行います。
ピンチローラーの交換を行います。メカを手前に引き出して、カセットホルダーを取り外します。
劣化したピンチローラーを新品交換します。
調整を行います。まずはテープ速度です。315Hzのテープを再生してテープ速度の点検を行います。
コントロール基板上のトリマを回して調整します。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。Lchの高域不足のため、傾きがマス目と合いません。
315Hz、1000Hz、10000Hzの同レベルのサイン波を録音したテープを再生します。左写真がLch、右写真がRchですが、Lchでは10000Hzのレベルが低下しています。
この機種には、再生時のイコライザ調整ができるようになっていますが、Lchは最大になっていて、これ以上の調整はできません。
そうなると原因はヘッドということになります。試しにヘッドを触ると、高域が変化しました。ヘッドの傾きを僅かに調整することにより、Lchの高域がかなり改善されました。
EVは録再ヘッドがそれぞれ独立していますので、録音ヘッドのアジマス調整も必要です。
以上完了です。